マザーのパクリだと思って始めた「UNDERTALE(アンダーテール)」の感想


巷で大変評価の高いインディーズRPG「UNDERTALE(アンダーテール)」を半ば周りに流される形で購入してみました。

周囲の評判があまりにも良いためネタバレしない程度に調べてみると、どうもあの名作RPG「マザー」シリーズに似た雰囲気なのだとか。これを聞いてマザーファンの私はプレイする前から得体の知れない不安を抱えておりましたが、クリアしてみてこれほど心揺さぶられるとは想像もしませんでした。

※ネタバレ防止のため具体的な内容については控えております。

開始直後の所感「単調でチープな、マザーになれない同人RPG」

「マザーに似ている」という事前情報により、ダウンロードの時から既に不安でいっぱいでした。かといって、いざ起動してみてもワクワクするような豪華な映像や壮大なBGMが出迎えてくれるわけでもなく。「思っていた通り…。」と、プレイヤーの名前を決めてゲームを開始。

事前に耳にしていた通り、チープなグラフィックです。

やがてチュートリアルバトルが始まります。ハートの自機を操作し、敵の攻撃を避けながらターンを稼ぐ謎のシステムがまた単調。平たく言えば面白くはない。開始からわずか10分程度で気持ちは疲れ果て、早くも中断。

思い出したかのようにプレイを再開したのはそれから2~3日後のこと。並行してプレイしている「ドラクエ11」のレベル上げでもしている方がまだ有意義なのではないのか?たとえ今このゲームを中止して二度と起動しなくなったとしても後悔はしないだろう、という気持ちすら沸き始めています。

開始1時間、この世界への興味が沸き始める

ゲーム開始から続く平坦なダンジョンを、奥へ奥へと進んでいきます。

敵によって攻撃方法は違えど、相変わらず戦闘は単調。

せっかく買ったゲームに少しでも楽しさを見つけたいのか、周りの意見に同調して安心感を得たいのか。自分の中で何かしらの答えは出しておきたい、とにかくさっさとクリアしてしまいたい。

ダンジョンにあるスイッチを起動して道を開く仕掛けも実に単純。そうしているうちに、オープニングで登場して主人公を案じながら地底を案内してくれたトリエルの自宅へ到着。寒色の世界から一変して「彩り」が出てきます。

そういえば誰かに頭を撫でられたのっていつだろうか?

そもそも数多の敵が襲ってくるこの地底は主人公にとって安全な場所ではないことは確かです。妙に親切にしてくれるけれど、このトリエルも一体何者なのだろう?好奇心が湧き始めてきます。

開始2時間、キャラクターの言動に「不覚にも」クスリと笑ってしまう

振り切るようにトリエルの家から飛び出していくと再び寒色の世界へ。主人公とトリエルのほかにも個性溢れる摩訶不思議なキャラクターたちが登場し始めますが、やっぱり彼らが果たして何者で、敵なのか味方なのかは未だ謎のまま。

このキャラクターたちは実にイラッとします。イラッとするけれど、垣間見える優しさや弱さはどこか憎めず。

思わずニヤリとしてしまうシュールな表現

憎めないキャラクターたちもまた主人公に協力してくれるけれど、結局ここって一体何なんだろう?この不気味な空間から外へ出たい。

そういえば戦闘を重ねながらシナリオを進めていく中で、いつの間にか敵からの攻撃方法が実に多種多様で、このチープなクリエイティブ達が「敢えて」であることに気づき始めています。

意表をついた攻撃をしてくる敵が出始める

開始3時間、物語の本筋を知り鳥肌が立つ

開始からわずか3時間ほどで「折り返し」のトロフィーを獲得、おそらく中間地点か。だとしたら実に短いストーリー、短いけれども濃厚。開始時のあの憂鬱さは一体何だったのだろうか?気づけばすっかり没頭しています。

意外と折り返しまであっという間に思えている

数多くの仕掛けに作り手のこだわりを感じつつさらに歩みを進めていくと、少しずつ明かされていくこの世界の全貌に鳥肌が立ちました。そしてこの単調な映像もシステムも何もかもが、作り手によって意図的に計算し尽くされたものであることに気付かされます。

クリア後の感想:まるで児童書?いつの間にか心揺さぶられている

開始から5時間足らずであっという間にアンダーテイルをクリアしました。そしてそのまま2周目もクリア、3周目に突入しています。本作は途中の行動や選択で分岐するマルチエンディングで、2〜3周することで物語の詳細が明らかにされていきます。

間違いなくインスパイアされているであろうマザーシリーズのファンである私は開始前から既に本作に対する抵抗感が強く、正直最後までプレイする自信がありませんでした。ところが開始数十分で世界の魅力に気づき始め、一時間もすると先の展開が気になり、気がつけばどっぷりとその世界に浸っていました。

なぜこんなに心揺さぶられたのか?優しい言い回しで読み手に寄り添う、例えるなら児童書を読んでいるような気持ちです。作り手の手管通りか、クリア後には世界への興味と心地よい余韻を残して自然と2周目に導かれ、最終的に大きなカタルシスを得ることができました。

ローカライズも本当に素晴らしいです。この独特のニュアンスを出すのは簡単ではないはずです。PC版で使われた有志の翻訳が秀逸だったようで、今回の公式ローカライズに対しては賛否あったようですが、個人的にはとても良い表現に感じられました。

ゲームのクセは非常に強いです。ドラクエ、FFの様なRPGファンが同じ姿勢で楽しめるか?と言われるとそれはまるで違う。かといって、マザーに近いかと言われてもやっぱり違う気がしています。むしろ弾幕系シューティングゲームに近いかもしれません。


過去に挙げた、本作における海外プレイヤーのレビューで読んだ「ゲームの面白さは映像だけが全てではない」といった意見は、まさにその通りの作品でした。ボリュームも価格も適度なので、ちょっとした読書を楽しむような気持ちで買ってみると非常に楽しめるはずです。

アンダーテール、実に奇妙な作品です。


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