神ゲーに偽り無し!ここが良かったPS4「ゴッドオブウォー」クリア後の感想


PS4「God of War(ゴッド・オブ・ウォー)」をクリアしました。

感動しました。

巷では「神ゲー」と言われていますが、全く異論ありません。これまでゴッド・オブ・ウォーシリーズはほぼ全てプレイして参りましたが、今回は過去作とは明らかに毛色が違います。

※極力控えておりますが、ネタバレにはご注意ください。

究極の一本道ゲー。抜群のバランスと戦闘時の自由度の高さ

さて、個人的にここ数年で特に感銘を受けたタイトルはニンテンドースイッチの「ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド」です。

「ゲームとは、一本道を迷うこと無く丁寧に案内して、無事にエンディングを迎えられるようお膳立てされたものが正攻法」と考えられがちだった日本製のゲームにおいて、どこへ行っても何をしても良い。ボスをすっ飛ばして進めても、最初からラスボスへ果敢に挑んだっていい。その自由度の高さと仕掛けの多さに驚かされたものです。

一方このゴッド・オブ・ウォーは完全な一本道。

サブシナリオで横道に逸れたり、行く先々でパズル的な要素で立ち止まることはあるけれど、進むべき方向まで常に表示されていて、迷うことは絶対に無い。なのになぜこんなに飽きずにぶっ続けでプレイできたのか?

その理由は、バランスの抜群な戦闘の楽しさ、そして先が気になって仕方がないシナリオ、この2つによるものと考えます。

基本的にはシームレスなフィールドで出てくる敵を全滅させて進んでいくアリーナ方式ですが、とにかく敵が強い。

「死にゲー」で特に人気の高い「DARKSOUL」シリーズと比較されている本作は、過去シリーズの無双アクションから一変してとにかく敵が硬くて強い。何度も倒されては対策を練って模索して再びチャレンジを繰り返します。

戦略パターンも様々。強化するためにサブシナリオを進めるのか、強化は防具に割り振るのか、腕力に振るかルーン(魔力)に振るか?スキルを強化するのか?武器を変えてみるのか?同行しているアトレウスをもっと活用してみるのか?そもそも自身の操作テクニックで補うのか?このトライ&エラーがとにかく面白い。

まるで極上の映画を見終わった時のような後味のシナリオは得られるカタルシスが物凄い!

エンディングを迎えた時に特に印象的だったのが、ゲームをクリアした感覚ではなく、映画を見終わった後のような後味です。

これまで感動するゲームはいくつもありましたが、エンディングを見終わった後に登場人物に思いを馳せたりするゲームはほとんどありませんでした。

このゴッド・オブ・ウォーは「ハムナプトラ」や「インディージョーンズ」みたいな仕掛けの多い冒険映画のような世界観がありつつも、最も着目すべきはとにかく親子の絆。

息子アトレウスの年齢は10歳とかそのくらいでしょうか、思春期に差しかかろうとしているあどけなさと自立心が共存するデリケートで不安定な時期。最初は心身ともに弱かったアトレウスは、母を亡くし、父クレイトスと二人だけでその遺灰を巻く旅に出る。その過程で少しずつ成長していくその移り変わりが見事。

旅の途中でクレイトスから生きる知恵を教わりながら、なかなか同じ時間を過ごすことができなかった父のこと、そして自身の生い立ちについて少しずつ理解し、やがて父に対する反発心や過信も芽生えていく。その時々の感情がきちんとAIとして動くアトレウスの行動にも反映され、気がついたら多少の崖は自分でよじ登ったり、果敢に敵へ向かっていったり、あれ?と驚かされることも多々。

一方のクレイトスも戦いの神でありながら、息子に対する愛情の深さは過去作の残虐性の高いシリーズからは信じられないほど。人は子供に対してこんなにも強く、思い悩み、時に弱くなるものか。クレイトスとアトレウスの姿に、同じ父親として、あるいはかつて子供だった自分を重ね合てしまいます。

無事エンディングを迎えた時に、なんとも不思議な感覚を覚えました。

かつて観た映画ですが、事業の失敗により息子と二人ホームレス生活を送りながら息子と向き合い這い上がっていくウィルスミスの「幸せのちから」や、7歳児程度の知能しかない知的障害を持つ父親と間も無く7歳を迎える娘との関係を描いた「アイ・アム・サム」、これらを見た後のような、切なくて暖かい気持ちになりました。まさかゲームで、ましてやこのゴッド・オブ・ウォーシリーズでこんな気持ちになろうとは。

魅力溢れる登場人物たちとその掛け合い

本作に登場するキャラクターの数は決して多い方ではありませんが、それぞれが実に個性的。

旅の途中で出会うキャラクターたちは、クレイトスやアトレウスに協力てはその関係性や行き先に口を挟んでみたり、反対にアトレウスが暴言を吐いて彼らを困らせたり、子供ならではの優しくて無垢なアプローチで大人の「しがらみ」に介入していったり。

ローカライズのセンスも秀逸で、会話の間や言い回しががとにかくリアル。ゲームのNPCがこんなにも愛らしくて頼もしい存在に感じたのは初めてかもしれない。

脱線しますが、可愛くてどこか哲学的な漫画「ぼのぼの」の作者いがらしみきお氏曰く「ケンカは仲直りする時が一番気持ちいい」というセリフがありましたが、途中過信したアトレウスと息子に手を焼くクレイトスとの関係性がギクシャクし、修復の兆しが見えた頃に、腕は良いものの価値観の違いにより仲の悪い鍛冶屋であるドワーフの兄弟の姿を見て親子で顔を見合わせるシーンでは父と息子のファジーな関係性を上手に描いています。

クリア後、得体の知れないしてやられた感、虚無感に襲われました。

エンディングのスタッフロールは15分だったのか30分だったのか、とんでもない時間流れていました。それだけの人が関わっているわけですが、このゲームって、いったいどんな人たちがどんな想いで作ってきたのだろうか。

自身のゲームに対する基準値、期待値が確実に上がってしまったからなのか、作り手の才能に対する嫉妬なのか、はたまた難易度の高い本作をクリアできたことに対する安堵感なのか?得体の知れないしてやられた感、虚無感に襲われました。

「PS4所持者はやっておいた方が良いゲーム」というコメントを各所で見て参りましたが、私も同感です。さらにはぜひお子さんを持つ(特に男の子)お父さんにプレイしてみて欲しいです。

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