格ゲーからFPSやパズルゲーまで、ゲームの強さを競技として捉えたeスポーツ。昨今少しずつその存在が世間に広まり市場も伸長しつつあるものの、日本においてはまだまだ未開の文化であるこのeスポーツのプロプレイヤーって、いったいどんな生活をしているのか?どこか謎めいていませんか?実在しているのかすら疑わしく思うことも!それはないか。
そんな中、香港出身でストリートファイターVのプロプレイヤー「Denesis(デネシス)」選手が練習のために来日。これは色々とお話を伺うチャンス。包まれたベールを解き明かすべく、私生活やプロプレイヤーになるに至った経緯から日本人選手の特徴、日本での過ごし方やその他プライベートな話についてインタビューして参りました。
また、格闘ゲームが苦手な私がもう少しだけ強くなるためのコツについてもこっそりと伝授していただきました。
Denesis(デネシス)選手プロフィール
名前:Denesis(デネシス)選手
生年月日:1993/10/7
出身:香港
所属:Talon Esports
種目:ストリートファイターV
使用キャラ:ベガ
twitter:@Dennis_ETH
instagram:denesis_hkfgc
Facebook:denesisHK
デネシス選手、今回の来日の目的は?
私(管理人)「今日はお時間頂きありがとうございます。今回の来日の目的は?すみません、入国審査みたいな質問をしてしまって(笑)」
Denesis選手(以下「デ」)「今回の来日はスト5の練習だけなんです(笑)実は過去に観光では何度か日本には来ているのですが。日本では練習のクオリティが高くて」
私「香港でスト5を練習するということでは十分ではない?」
デ「まず、香港ではスト5をプレイしている人数がそもそも少ないんです。もちろんプロとしてのプレイヤー人口も少なくて。だから、プレイヤー人数の多い日本でプレイした方が、練習の成果も全然違う」
私「日本に来るのは何回目ですか?」
デ「もう20回以上は来ていますね」
私「凄い!」
デ「プロゲーマーになる前は、大阪にも行きました。香港からの渡航費もそんなに高くはなくて。7〜8回くらいは家族で行きましたね。大阪でも過去に大会があって。あとは福岡も行きました。最近はただ練習するだけですね(笑)先月も3週間、今回は2週間滞在しています、目的はとにかく練習ですが…(笑)」
私「日本にご家族でいらした時は、みなさん楽しまれていましたか?」
デ「楽しかったです、食べ物も買い物も。母は薬局が好きで、毎日毎日…」
私「化粧品とか…?」
デ「はい、とても安いみたいで(笑)」
私「日本人の印象はいかがですか?」
デ「皆とても優しいですね。毎日練習でゲーセンに通っているうちに、同じ格ゲーをやるプレイヤーさんと顔見知りになって「ご飯食べに行こうよ!」って(笑)」
私「凄い!Denesis選手のコミュ力も凄いですね!」
プロゲーマーになろうと思ったきっかけは?
私「プロゲーマーを志したきっかけは?」
デ「小さい頃からゲームが好きで。色んなゲームで強くなりたくて。勝った時の気持ち良さが快感だったんだと思います。そのうちに大会の映像を見ることがあって、ウメハラさんとか。それを見てプロゲーマーになってみたいな…と思うようになりました。もちろん道のりは長いだろうな、と思ってはいましたが。プロゲーマーになる前も仕事と勉強の後で必ず練習はしていて。ある時、スト5のシーズン2から実力を試してみようと思って、実費で海外の大会へ行きました。それからスポンサー契約に至って、そこからです」
私「不安は無かったですか?」
デ「あの頃学生だったからか、不安も無かった」
私「子供の頃の夢は?」
デ「実はあまりプロゲーマー以外に考えていなくて(笑)10年、20年くらい前はそもそもプロゲーマーというもの自体無かったんですが。それ以外だとゲームクリエイターも考えましたね、家庭用ゲームの。特にカプコンのゲームが大好きで。でもやっぱり自分でプレイするのが夢でした」
私「実際にプロゲーマーになってみて、どうですか?大変ですか?」
デ「実際はストレスもとても多いですね。プロゲーマーというものは給料がそこまで高いわけでもないですし、時々こうして実費で海外へ大会などに行くこともあるし、生活は不安定ですね。自分は来年どうしているか…と不安になったりすることもあります。周りのプレイヤーも強い。ずっと勝ち続ける人もほとんどいない。常に環境が移り変わっていきます。強い人でもやがて負ける。そして負けた時はたくさんのことを考えます、これから先どうやって勝ち続けていけばいいのか?もちろんそれが本気のプロとしてのやるべきことなんじゃないかと。でも、「悔しい」以上に「楽しい」気持ちが勝っていますね。本当に楽しい」
私「最初ご自身がプロゲーマーになろうと決めた時、ご家族に反対されませんでしたか?日本ではまだまだプロゲーマーの印象は良いとは言えません。ゲームって遊びでしょ?それを仕事にするなんて…という考えが根強くて、eスポーツという文化に対しては否定的な意見が多いです」
デ「実は香港も全く一緒で。最初、両親にとってもゲームは「仕事」という感じではなかった。だけど、最後には自分がそれで幸せならば…と理解してくれました。父はもともとゲームが好きで、僕が好きなことであれば、とサポートしてくれました。母は特に心配しましたね(笑)でも、チームに所属した最初の1年でスポンサーからの給料やサポートの話をして、海外へ行くことも問題はない、と知った時に安心してくれました。今年の4月から本格的にフルタイムのプロゲーマーになりましたが、今は両親共に安心していてくれます」
私「香港でプロゲーマーというのはどんな存在ですか?例えば、子供たちから憧れの目で見られる…とか、女性にモテるとか(笑)」
デ「香港の女性にとって一番大事なのはお金でしょうから(笑)プロゲーマーはお金が無い、だから、モテるかというと…残念な感じですね(笑)」
私「…ファイトマネーがたくさんもらえるようなプレイヤーだと別かもしれませんね(笑)」
デ「それは一握りでしょうね(笑)あと、香港でもイベントそのものが少ないので、普通のゲーマーはeスポーツについてあまり知らないのが現状です。それから、香港には有名なスポンサーがあまりないので、eスポーツ自体が珍しく、あまり人気の仕事という感じもありません」
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