クロノ・クロス:ラジカル・ドリーマーズ エディションプレイ中です。昭和生まれプレステ育ちの私は懐かしくて迷わず購入。
輝かしい評価を築いたクロノ・トリガーと比べると、ゲームプレイは地味だし動きももっさりしているクロノ・クロス。けれど、並行世界がテーマになった哲学的なストーリーとオリエンタルなBGMによって最高の雰囲気ゲーと評される本作にいくつかの改善や要素が追加されたこのリマスター版、買って遊んでみてどうだったのか?買う価値はあったのか?
結論を申し上げると、満足!
クロノクロスリマスター、今遊んでも面白…くはない。が、懐かしくて嬉しい!
プレイ開始して間もなく10時間。
今遊んでも面白…くはない。
アクティブゲージから威力と命中率の異なる小中大の攻撃を運用しながら代わるがわる攻撃するのは派手さに欠けた戦闘はアレだし、90年代ポリゴン独特のカクカクした動きまでバッチリ再現。オリジナルではクリア後から使えた倍速モードが最初から使えるのが救い。
またボスを倒して星を獲得して新たな成長段階に入る独特の成長システムも戦闘の必要性を欠くようなそうでもないような。
だけど懐かしい。
もうね、これに尽きるよ。嬉しいよ私は。
きっと私が金は無いけど時間はあった大学生の頃、実はそんなでもないゲームでもじっくり何周も楽しんでいたから、本作に対する思い入れが強いんだと思う。
突然居場所を失った主人公が少しずつ自分は何者なのかをシリアスだけどどこか明るい調子で解き明かしていく切ないストーリーは、前作との繋がりをじっくり考察するもよし、サクッと楽しんでどこかモヤモヤするような、やっぱりスッキリするような余韻を楽しむもよし。
そうそう、こんな雰囲気だった。
感心な若い皆様が温故知新だとプレイして「こいつは神ゲーだぜ」となるかというと限りなく可能性は低いんじゃないかと。
今遊んでも楽しい古いRPGを探しているなら、メタルマックスとか天外魔境とかやるといいよ、きっと楽しいから。
最近プレイした聖剣伝説レジェンドオブマナもそうだけど、あの頃のスクエニはちょっと本流から外れた実験的なゲームが多かったけれど、この作品もそんなクセのある作品のひとつ。
キャラクターもクセが強くて憎めない。
クロノ・クロスリマスター、ここが良かった!
クロノ・クロスリマスター版では、オリジナルの倍速モードが最初から使えることに加えて、スロー再生モード、バトル強化モード、そしてオート戦闘機能を搭載。
FFをはじめとする最近のスクエニリマスターで標準搭載されつつあるバトル強化モードはパラメータが、強化されたりするわけではなく敵の攻撃が一切当たらなくなるというもの。
ストーリーを進める中で「今戦ってはいけない」系の相手もガンガン倒すことができるので、当時はなかなか1周目ではできなかった遊び方を最初からすることができる。
そして、昨今のJRPGでは珍しくなくなってきた倍速モードとは逆にスロー再生モードも最初から利用可能。
これはいったい何に使うんだ…?戦闘なんてただでさえモッサリしているのに、これ以上モッサリさせてどうするというのだ?
と思ったら、モグラ叩き的ミニゲーム「エサやりマスター」でそれなりに使えた。
そしてオート戦闘モードも便利。
もともとモッサリしていて長期戦になりがちな戦闘なので、適当にオート戦闘をONにしておいてエンカウントしたらトイレに行くとか冷蔵庫からビールを取りに行くとか、皆様の生活スタイルに合わせたソリューションをお約束いたします。要は長い戦闘を放置できるので便利ということですね。
エレメントとか気の利いた行動はしてくれないけれど。
収録のラジカル・ドリーマーズ -盗めない宝石-は?面白くは無い…が、感慨深い。
1996年にスーパーファミコンのサテラビューで配信された「ラジカル・ドリーマーズ -盗めない宝石-」が収録されているけれど、プレイしてみてどうだったか?
面白いかどうかで言えば、ゲーム性としては面白くない。なんかずっと面白くないって連発しているけれど、本当に満足しているのだよ!
その内容はというと、アドベンチャーにしては絵も少ないし、行ったり来たりするだけで途中セーブもできない。サテラビューで受信できるデータ量には限界もあったのだろうけれど。
サウンドノベルのようにこれまでの経緯から推察して選択するのではなく、右へ行くか左へ行くか、完全に運任せ選択してゲームオーバーになることもある。
ああ、この感じは昔懐かしいファミコンのAKIRAだわ。
今の選択の何がマズかったのか…?
けれど、クロノクロスのストーリーの経緯だったり、原型と思われるBGMが聴けたりするので、クロノクロスをプレイした後に触れてみるとルーツを感じてまた感慨深い。
しかしサテラビュー。バーチャルボーイにしても任天堂はいつも時代の先を行き過ぎて我々一般人が追いつかないんだよね。オンラインサービスの走りのような機能で、データ量こそ少なく配信されるゲームのボリュームは小さいものではあったけれど、当時あのスーファミの底面にはCD-ROMがドッキングすると皆思ってたんだよね。当時は皆大容量ゲームがプレイできると思っていたので、サテラビューが発表された時のガッカリ感と言ったら。
サ、サテラ…何だって?
クロノ・クロスリマスター、なんだかんだ言いながら満足!
正直なところ、あまりグラフィックが綺麗になった印象も無いし、ムービーも当時の映像そのままでジャギジャギだし、フレームレートも違いがよくわからない。マルチェラのパンツはブルマーになったらしいけどね。良かったね。知らんけど。
がしかし!私はこのクロノ・クロス:ラジカル・ドリーマーズ エディションを購入して良かったと思っている。
ランチャー画面でいきなり登場するキャラクター達と流れるテーマ曲を聴いて、一人暮らしを始めて間もない頃に授業をサボって夜通しクロノクロスを遊んでいたダメな大学生の典型例みたいな、それでも愛おしい日々を懐かしんだり、舞台となる島国を駆け回っては従兄弟の家で遊んだあの夏休みを思い出したり。
かつて穴の開くほど楽しんだ懐かしのゲームを所持していることそのものが嬉しい。しかもそれがいつでもどこでも遊べる。クロノクロス・イン・マイ・ハンドなのだ。
クロノ・クロスは続編とか出なくても良い。リメイクも続編も無理して作ってくれなくても良い、完結せず節操の無いFF7にしてもバグまみれの聖剣伝説2にしてもヌルゲーになったアクトレイザーにしても、今のスクエニは上手じゃないんだから。あの(個人的)名作がそのまま現行機で動かせるその事実が嬉しい。
値段相応の価値があるか?というと、これはもうマインドの問題なので、私としては3000円、4000円だっけ?どちらでも良いんだけれど、大満足!