本日は白黒剣戟アクション「Trek to Yomi」、映像と雰囲気にそそのかされて衝動買いでございます。
Ghost of Tsushimaみたいな感じなのか?はたまた鬼武者みたいな感じなのか?2000円だし多少怪我しても良いか、という気持ちでプレイしたら、映像綺麗、遊びやすい、ストーリーも分かりやすくて展開が楽しみと印象深い作品でした。
※ネタバレ配慮でストーリーには触れておりません。
どこか懐かしくて黒澤映画を彷彿とさせる、映画要素強めな白黒剣戟アクション。
まず印象的なのが映像。
白黒画面と、遠目から引きでその場に登場する賊全体や役者を追いかけるような横スクロールのアングル。背景ぼかしによる奥行きのある遠近感。雨風など背景の動き。
こりゃ黒澤映画そのものだ。
いや、ちょっと待てよ、私は別に黒澤映画が詳しくもなんとも無いのだった。でも、昔BSか何かで見た「七人の侍」はこんな感じだった。
と思ったら、開発のFlying Wild Hog社も「クロサワ作品ニ超影響ウケマシタ」と公言している様子、ほらやっぱりね。(後付け感)
そして情緒あふれる街並みや自然はどこか懐かしさを感じる。この時代を過ごしたことなんて無いのに。
本当に海外の開発会社が作ったのか?というほど、日本人として違和感無いほどロケーションの作り込みが秀逸。
台詞回しも違和感無し。
戦国時代を描いたゲームは雰囲気出しすぎるともう言葉の意味がなんだかよく分からなくなるけれど、テレビの時代劇レベルの言葉遣いなのでストーリーがスッと入ってくる。水戸黄門を楽しめるくらいの読解力があれば問題無し。(水戸黄門みたいなコメディ要素はないけれど)
ゲームしているというよりも映画見てるみたい。
アクションはシンプルだけど、ズバズバ爽快!死にゲーではない。
一方ゲームプレイ面としてはシンプルにまとまった横スクロールアクション。
強化アイテムなどが隠された脇道はあるけれど、基本的には一本道を進んでいき、何人もの賊を一人ずつ倒していくアリーナ型。
アクションは連撃、防御、ローリングによる回避、投擲など遠距離攻撃とシンプル。相手の攻撃を防御で弾いて斬る!というのが基本の動きで、タイミングよく弾くとより高い威力の反撃ができ、体力も回復するパリィ要素あり。
脇道などに落ちている「技能書」を見つけることで、新しい技を習得することができる。
技と言っても刀から光線が発射されたり鬼に返信したりといった人外的な必殺技ではなく、コンボの組み合わせで動きが増えたり、回避からの連撃などの攻撃パターンが増える感じ。
技のバリエーションが多い一方でタイミングがシビア。どこかで練習したいけれど、セーブポイントが要所に点在しているのと死んだところで特段ペナルティがあるわけでもなさそうなので、何度も倒されながら実験的に技の練習をしても良いか。感覚掴めば自己陶酔するくらい格好いいチャンバラが楽しめそう。
また、0になるとミスとなる体力や特定のアクションで消費する気力も、道中落ちている増加アイテムで最大値を増やすことができる。
攻撃の他に敵の攻撃を弾いたり回避したりすることで気力が減っていき、時間の経過とともに回復。この気力ゲージはことあるごとに減っていくので、どのタイミングで刀を振るか、攻撃を弾くかを見極める必要があり、なかなか緊張感あり。
むやみやたらに刀を振り回してもあっさり倒されたりする。
ボス戦では相手の体力ゲージが表示され、全て削れば勝ち。時々トリッキーなフェイントをかけてくるけれど、体力が多いくらいで摩訶不思議な攻撃をしてくることも無く。
雑魚もボスも、防御して反撃という基本の動作させ覚えていれば、道中習得する技に頼ることなく倒すことができそう。
全体的な難易度はそこまで高くはない。ストーリーも分かりやすくて先が気になるのでこのくらいテンポ良くズバズバ進んでいけるのはありがたい。エルデンリングとか、最近死にゲーばっかり遊んでいたのでそれはそれは快適でございます。
映画要素強め。白黒映像が想像力を掻き立てるサクサク遊べる作品!
侍同士の時代劇でありながらもものの怪が出てくるので、時代背景の雰囲気を壊さない程度のファンタジー要素あり。
プレイ時間は現在5時間でストーリーの進捗は70%。ということは、10時間はかからずにクリアできそうかな、という見込み。
Ghost of TsushimaだとかSekiroだとか超大作時代劇ゲームに比べるとボリューム面ではカジュアルな印象ではあるけれど、この白黒の世界を歩き回る没入感は他のゲームではなかなか体験できない。
レガシーなゲームのドット絵がキャラクターの表情をプレイヤーのイメージに委ねるのと同様に、白黒の映像もまたプレイヤーの想像力を掻き立てる。結果、ストーリーに対して揺さぶられる感情の振り幅が大きい気がする。
そういえば、かつてゲームボーイの聖剣伝説をプレイしたときにも、あんなにチープな白黒の画面にあんな気持ちなのかな、こんな表情なのかなと子供ながらに都合よく解釈しては感動したのを覚えている。
それにしてもやっとカラフルな画像が出てきましたね、自分の目がどうかしちゃったのかと思った。
カラフルでフォトリアルな映像もテクノロジーの進化を感じて楽しいけれど、何か情報を削ることで掻き立てられるものがあるのかもしれないな、ゲームというものは。
単純にゲームそのもののボリュームや奥深さというよりも、この時代劇に自分が入り込んで事の顛末を同じ空間で見ているような感覚はなかなか他のゲームでは感じられない。という意味でも価値のある作品でした。