情緒感あふれる鉄道運営シミュ「レイルウェイエンパイア2」レビュー


カリプソメディアジャパン様から新作をご提供いただけました、「Railway Empire 2(レイルウェイエンパイア2)」。

19世紀の北米、ヨーロッパの開拓時代を舞台に、鉄道会社の経営者となって街と街とを自社の路線で繋いで人や物を送り届けて街を発展させながら自社の事業エリアを拡大させていく鉄道経営シミュレーション。街づくりシミュレーション好きな私にとって願ったり叶ったり。

しかしながら、鉄道経営街づくりシミュレーションは強い達成感が得られる一方でとにかくあらゆるコンテンツの管理が多く複雑で忙しいものが多い印象。

果たして本作はどうなのか?そしてどんな特長があるのか?

まずは街と街とを繋ぐことから。鉄道、街づくりシミュレーションでありながら複雑過ぎず遊びやすい。

鉄道運営シミュレーションは、路線、街、会社とそれぞれを代わる代わる管理運営し、データを見ながら均衡を保つものが多く、本作もまたそういった構成。

管理するものが多過ぎると自由度が高い一方で複雑化し、触ってはいけないゲージを少しいじったばかりにあれよあれよと人口は減り、人々の暮らしも楽にならず。石川啄木みたいなこと言いやがってお前はと思われるかもしれないが、本当のことなのだ。

まず街と街とを繋いでみる。すると、人々の営みが始まる。

ところが、その不安は薄れていく。

本作の基本的な流れは、地方の産業と街とを路線で結んで物流を作り、運行させることで都市の需要を満たして都市を発展させていくこと。

会社それぞれデリケートに作用し合うものの、路線を繋ぐことでその結果として街や会社が発展していくため、あれこれ複数の要素をいっぺんに管理する必要はない。

繋いだ先の街がどのような特産品を求めているのかを確認しながらパズルのように繋げ、その効果をウォッチしていく。

あとは想定した通りに需給が満たされ街が発展し、輸送で得たより多くの収益でさらに事業エリアを拡大していく、その様子をニヤニヤしながら眺めるのだ。

楽しい!

俺の引いた路線に、次々に積み込まれていく現地の特産品。

広大なマップを走る列車をズームしていくと、荷物を積んだり乗車したり、自身の引いた路線で人々の営みを見ることができる。

嬉しい。ずっと眺めていられる。

そして想定していた通りに需給が満たされ行く先々の街が発展していくと連鎖的にドーパミンの分泌が起きる。

かわいい民よ…。

需給バランス、効率化、他社との競り合いやタスク(ミッション)でゲーム進行は単調にならず。

シンプルさを語ったあとで舌の根も乾かないうちに奥深さを語る。

当然線路を繋ぐだけでただ収益が増えていくわけではない。投資コストが収益を上回れば当然赤字になり、運営は立ち行かなくなるのだ。ここが経営者として手腕の見せ所になる。

列車が路線を走れば人件費かかり、列車のメンテナンスも必要になる。ランニングコストを抑えればそれだけ品質も下がり、結果売り上げも下がる。

また街の需要に見合ったインフラを引かなければ列車は使われず、経費だけがいたずらに消費されていく。ただ民の営みをぼんやり眺めていれば良いわけではないのだ。

加えて買収や工作など競合からの外的圧力もあるときたもんだ。

おいふざけんなよ。

競合との駆け引きもあり、当然こちらから工作することも相手のエリアでどんどん事業拡大させプレッシャーを与えることも可能。

競合の株を買うことで買収(合併)することもできるが、もちろん相応の資金も必要。戦略的に事業拡大するもよし、力技で競合をねじ伏せることもできてしまう。

競合のエリアにジリジリと領土を広げる。ふふふ。

毎月溜まっていくイノベーションポイントを使って新しい車両や新しい技術、施設、従業員や工作員の能力を向上させることもできるスキルのような要素「研究開発」もあり、経営手段や戦略の幅が広がっていくのもまたやり甲斐あり。

手探り感あり。手詰まりになったら?システムの理解にはチュートリアル、キャンペーンおすすめ。

洋ゲーならではの手探り感もあり、プレイし始めた頃に戸惑ったところも書き記しておこう。

まず、路線を引く時には必ず複線を引くこと。これで車両の衝突が起きず、流通量も倍になる。

地方産業と街とを繋いだはいいが、全然供給されないこともあった。これはその街に需要が無いことが原因で、全ての街で全ての特産品を欲しているわけではなく、ある程度発展しなければ求められない特産品もある。

「だって野菜くらいみんな食べるでしょ?衣類くらいみんな必要でしょ?」と思うかもしれないが、それはあなたの感想ですよね?という話で、街が小さければ全裸で肉食と野蛮な集落かもしれない。開拓時代というのはそんな時代なのだ。そんなことはないか。けど、とにかくそういうものなのだ。(投げやり)

それから、車両がすぐ壊れるのだけれど、どのように修理すれば良いのか?

壊れた車両はその場で修理代を払って直すわけではなく、自動で修理される。ただし一定の期間かかってしまうためその路線の輸送は停止してしまい、同じ路線を走る後続の列車も足止めを食らってしまうのだ。

そうならないために、ターミナルとなる主要な駅には設備施設を作っておく。これで車両の故障確率を大きく減らすことができるのだ。

ここまでは一連の動作としてやっておく必要はありそう。

基本操作は概ねチュートリアルで学べるのと、キャンペーンモードで少しずつ実践するのがおすすめ。

キャンペーンモードはミッション形式のタスクが発生、期日までにその条件を達成させなければゲームオーバーとなりもう一度やり直すことになるが、チュートリアルで学んだシステムを基本から順を追った構成になっているため、シリーズを初めてプレイした私も内容を理解するのにとても良い練習になった。

古き良きフロンティアスピリッツと情緒溢れる世界観は雰囲気あり!

最後に本作の特長について。近代的な列車シミュレーションが多い中、このレイルウェイエンパイアはアメリカとヨーロッパが舞台となっていて、実在した歴代の汽車が時代に応じて登場するので雰囲気あり。

事業エリアや会社規模などが一定の基準に到達すると、新聞でレポートが表示される。

のんびりしてもいられないぞと上述しておきながら再び手のひらを返す発言をすると、このレイルウェイエンパイアには様々なモードがあり、競合のプレッシャーや複雑な資産管理や投資リスクに恐れることなく、無限に路線を引いて実在する往年の汽車を自由に走らせながら街の発展を楽しむサンドボックスモードもある。

列車の視点で、立ち並ぶ針葉樹林をかき分けながら北米の地を走るのを眺めているだけでも癒されるのだ。

乗客だけではなく、列車を動かす機関士も働いている。

仕事こそは限りない〜♪

男のいのちじゃないか〜♪

引いた路線を走り、飲みながら線路を走らせる。これがまた楽しいことを知ってしまったよ私は。

振り返ってみると収益化自体はそこまで難しくはなかった。あとはその効果を最大化するために少しずつ調整していくこと、なにより自分の引いた路線で人々が活動を始める営みを眺めるのが楽しい。

本編はデータ好きはもちろん、数字は得意ではないけれど街や路線の成長といった発展系のシミュレーションは好き、興味があるというプレイヤー、シミュレーションはさておいて、古き良きアーリーアメリカの世界で、実在した蒸気機関車を走らせたい…というプレイヤーにもおすすめ。

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