ゼルダの伝説ティアーズオブザキングダム、半年かけてやっとクリアしました。
流れるエンディングのスタッフロールを見ながら、夜な夜なもう一人で拍手。
本作の感想など世にありふれている中、今更感想など述べてみたい。過去に綴った前作ブレスオブザワイルドの感想と似通った表現があるかもしれないけれど、クリア後まだ余韻のあるうちに。
ゼルダの伝説ティアーズオブザキングダムの何が凄いのか?あらゆるジャンルのエンタメを一本に凝縮している。
結論から申し上げると、2023年現在最高峰エンタメの塊だった。
献身的なヒロインとそれを助けようと邁進するヒーローと、二人を取り巻く頼もしい仲間たちとのストーリー。
キャラの表情や被写体に対する角度ひとつ取っても絶妙な演出と、それを引き立てる音楽。
その辺に転がっているオブジェクトを駆使して目的地へ辿り着くクリエイティブなシステム。
一見自由そうでプレイヤーの行動を計算し尽くした絶妙な配置。
一切妥協が無い、作り手の狂気すら感じる。
という素晴らしいゲームはゼルダに限った話ではないかもしれない。エルデンリングとか。
ゼルダの何が凄いかというとプレイヤーの行動次第で程よくもあり、ソウルライクさながらのチャレンジングな難易度でも楽しめる伸縮自在のゲームバランス。
そして揺さぶられる感情の幅も広く、シリアスなメインストーリーの傍サブクエはコメディに溢れ、地下迷宮を仲間とはぐれると一転してホラーにもなる。あらゆるジャンルのエンタメを一本のゲームに凝縮した構造はもはや芸術の域。
ヒントなしでじっくりプレイ、クリア時間は145時間。
クリア時間は145時間。
期間にして半年もかかってしまった。
途方もなく広大な世界で少しずつヒントを探し回っているのが楽しかった。
目的の対象を探しに果てしない大地をノーヒントで駆け回っていると、やがてまったく見当違いの地域にたどり着いてしまう。どのくらい見当違いかというと、東京ディズニーランドに向かうつもりが富士急ハイランド(山梨)に来てしまったくらいのレベルだな。
富士急で立ち往生しているのもつまらないので、現地で関連性の無いイベントをこなしてみる。すると「実はディズニーのチケット持ってるからあげるよ」みたいなことが起こり、いつの間にか本流に近づいていく…という経験が何度も訪れた。なんだか行動パターンを見透かされているみたいだった。
そんな予想もしない発見や展開に触れた時の感動が大きいあまり、攻略サイトで答え合わせしてしまうのがとにかく勿体無かった。絶対に攻略サイトなんて見ないと決めた。
もちろん、本当に見当違いな場所に迷い込んで、東京ディズニーランドに行くつもりが浜名湖パルパルに到着してしまいそれっきりになることもあったけれど。特に暗中模索の地底は広いわ暗いわほぼ人が居ないわで何度も心折れそうになった。静岡出身だから揚げたけど浜名湖パルパルが冴えない遊園地などということはないぞ。
けれど、エンディングを迎えた今、暗闇を手探りで進んだあの辛さは全部報われた。そして、半年も一緒に旅していた仲間たちとの冒険が終わりを迎えた時、それは感慨深いものがあった。
ブレワイとティアキン、どっちが面白かったか?
ブレスオブザワイルドは発売された2017年時点で私にとって最高のゲームに躍り出た。
このティアーズオブザキングダムもまた自由で幅広い楽しさに溢れていたけれど、それぞれ別の感動をもたらしてくれた。
ティアキンは空中から地底とエリアが広く、地形の仕組みもユニークだった。
様々に機能するオブジェクトを組み合わせて頭をひねりながら進むパズル要素が強かったし、それらを活用した敵との戦いは無限の倒し方があった。
かと言ってブレワイの空間が狭くて単調かというとまったくそうではなく、同等数のイベントがブレワイの世界に散りばめられていたと思うし、ライネルだけではなくガーディアンなど超強力かつバリエーション豊かな敵の攻撃からうまく立ち回る戦闘の楽しさ、アクション要素が強かったように思う。
どちらが面白かったのか?白黒つけろと言われたら、私は迷いに迷ってブレワイを選ぶ。
けれどここは好みなので、ティアキンこそゼルダ最高傑作という意見があってもまったく不思議ではない。
なんだか懐かしい。ティアキンで他のゲームでは感じない特殊な感情を抱いた。
さて、クリア後のデータ引き継ぎプレイ大好きな私ですが、ティアキンは引き継ぎ周回プレイなどという手段で遊びの幅を延長するような機能は無い。
ティアキンもブレワイも、本編で遊びに幅を持たせる。真剣勝負なのだ。(私はデータ引き継ぎ周回プレイが大好物だけどね!)
けれど、一度クリアしたパズルをまったく別の手段で攻略したり、浅く捉えても楽しいストーリーを考察含めてじっくり辿ってみたり、もう一度最初から旅してみたいと思った。
それから、晴れの日も雨の日も昔夢中で外を駆け回っていると、抜け道を見つけたり、見つかったら怒られそうなちょっと危ない場所に入ったりと近所を冒険した頃の感覚、懐かしい感情に包まれた。
まだまだ出会っていないサブクエストも多い。というよりも、150時間近く遊んでいるのにサブクエストはほぼ未着手。
これらも攻略サイトで答えを見つけてしまうのではなく、同じくティアキンを遊んでいる友達同士ちょっとだけヒントを貰ったりしながら無邪気に話せたらどんなに楽しいだろうか?ファミコン時代に友達同士で話したみたいに。みたいな気持ちが湧き上がってきた。
まだまだいじりがいがある、ティアキン。
また、Switchでゲーム機は完成されたとも感じた。
Switch2のリーク情報なんてものが取り沙汰されている昨今。この先想像もしない体験を斬新なハードで新しいゲームの楽しみ方を任天堂はもたらしてくれるのかもしれないし、ハードの特性抜きで面白いゲームが出たらやっぱり買ってしまうんだろう。けれど、ファミコンの名作が今もなお語り継がれているように、このゼルダティアキンもきっとハードの進化に関わらず名作として語り継がれるはず。と、思いながら、埋まってきた人物名鑑なんてパラパラめくっている。
ティアキン、最高に面白かった!