ガンダムゲームは数あれど、ゲームボーイのガンダムRPGといえば何でしょうか?いや、聞くまでもなく「ラクロアンヒーローズ」一択でしょう。
さて。先日池袋にあるレトロゲームの老舗「スーパーポテト」でゲームボーイソフトを物色していた時のこと。ナイトガンダムが爆風から勇ましく飛び出しているパッケージのソフトを発見、その名も「新SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語(ストーリー)」。
いかにも王道RPG色漂うパッケージを目にし、かつて一枚20円のカードダスで盛り上がった世代として、こんな格好良さげなソフトをやらずにいるのはいかがなものか?思い、購入してみました。
ジャンルは王道JRPGではなく、アクションRPG!
「新SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語」をレポートするにあたって、こちらにご活躍いただきます。
レトロフリーク先生よろしくお願いします。
本作の発売は1994年とゲームボーイ作品としては決して初期ではないものの、なぜかバッテリーバックアップ(セーブ)機能は備わっておらず。同年には「ファイナルファンタジーⅥ」や「MOTHER2」などがリリース、まさにJRPG黄金時代において敢えてクラシカルなパスワード方式というチャレンジングな仕様になっています。
生憎レトロフリーク先生にかかればいつでもどこでもセーブすることができてしまうので、本作であろうがドラクエ1であろうが関係無しにセーブしてしまいます。
それではゲームスタート。
スーパーゲームボーイ用のフレームが用意されている!
レトロフリークでは「スーパーゲームボーイ」対応ソフトのフレームも再現されるため、本作もカッコイイフレームが表示されます。しかしながらここに労力を注ぐのであれば、セーブ機能を優先すべきなのではないか…?とも思うわけですが。きっと当時企業には企業なりの方針があったのでしょう。
ゲームを開始すると、倒れていたナイトガンダム(ゼロガンダム)が、ベッドで目を覚まします。はて、このシーンどこかで見たことがあるような…。
…あ!
同じくゲームボーイ作品「ゼルダの伝説 夢を見る島」のオープニングにそっくりだと思いさらにゲームを進めると、1画面単位のスクロール方式で、これまたどことなくゼルダ感が。
最初の拠点となるハイランド村で、「目的」を教えてくれるという伝説のリードソードの情報を得た後、剣が祀られているほこらへ向かいます。そこでスペリオールと呼ばれるガンダムから、ゼロガンダムの漂流した経緯や彼の使命について話をされます。
その後リードソードを手に、冒険に出発します。
マップ移動は1画面単位のスクロール型となり、敵を倒しレベルを上げながらダンジョンを攻略、アイテムやアクションを増やして行動範囲を広めながら進む探索型RPGです。ダンジョンには適度な謎解きもあります。
ここが面白い!よく出来ている!
プレイしてみて感じた評価点は、カットインなど一枚絵のグラフィックがゲームボーイの割に綺麗に作られています。
特定のボス戦になると、突然カットインが入り大きな姿に変身(召喚)し、大きめのボスとのバトルが始まるなど大胆なシステムも見られます。
また「スーパーロボット大戦」などガンダムが登場する有名な作品にはなかなか出てこないようなキャラクターも見られます。
ただでさえ出場頻度の少ない「Vガンダム」のヒロイン「シャクティ」が出て来たり。
やや淡白な印象がありながらも戦闘の難易度もなかなか歯ごたえがあります。雑魚戦であっても気が抜けず、ボス戦はある程度行動パターンを覚えてレベルを上げて臨まなければあっさり返り討ちに合う場合も少なくなく、緊張感があります。
ゲームオーバーになっても現在のレベルから獲得した分の経験値を失う程度でペナルティは少なく、ダンジョンの入り口からスタートという良心設定で、テンポ良く再挑戦することができます。
こんなゲームが好きな人は楽しめる!
・ゼルダの伝説 夢を見る島
漂流から目覚め、丸腰の状態から剣を入手して物語が始まるストーリー展開はゼルダの伝説 夢を見る島にどことなく似ている印象があります。
物語を進める中でアイテムやアクションが増え、行動範囲が広がっていくシステムもやや近いものを感じました。
仕掛けの多さやボス戦での戦略の幅は今ひとつゼルダの伝説には及ばない感じもありますが、新SDガンダム外伝のレベル概念はいかにもJRPG的で取っ付き易さはあります。
・聖剣伝説 ファイナルファンタジー外伝
一画面単位のスクロールマップで、敵を倒すことでレベルアップし、自身を強化していくアクションRPGという意味では初代のゲームボーイ版「聖剣伝説」と近いかもしれません。
ただし、単身剣ひとつ(+ハンマー等地形破壊の特殊武器)で単身果敢に進む新SDガンダム外伝 は、NPCが入れ替わり仲間となって主人公に同行したり、魔法や豊富な武器の種類など、戦略性の高さやストーリーの奥深さはもうひとつ聖剣伝説に及ばない印象です。
ゼルダの伝説ほどのバリエーションは無いものの、少しずつアクションが増え行動範囲が広がっていく探索の楽しさは、新SDガンダム外伝ならではかもしれません。
ラクロアンヒーローズと比べてみて。
アクションRPGである新SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語は、知名度の高い名作であるザ・王道JRPGである「SDガンダム外伝ラクロアンヒーローズ」とは全く異なるゲームシステムです。
今回の私のように「ラクロアンヒーローズが良作だったので、きっと同じ良作王道RPGだろう!」とジャケ買いしてみると、イメージとは異なる印象を受けるかもしれません。
敢えて善し悪しを申し上げれば、ラクロアンヒーローズの方が取っ付き易い、遊び易い印象です。
決して楽しくないわけではないのですが、何かお手本としているタイトルがあって、いいとこ取りをしようとした結果、器用貧乏でどっちつかずなアクションRPGに仕上がってしまった印象もあります。
カードダスシステムや武器変更など細かい部分のユーザビリティが今ひとつあか抜けていない辺りも気になります。
最大13個までしか所持できない消費アイテムが手に入るカードダスは、果たして得策だったのか…?
「アクションRPGがやりたい!」という場合はゼルダの伝説か聖剣伝説を、「RPGがやりたい!」という場合はラクロアンヒーローズを選択されるのが良いかもしれませんが、ガンダムが好き、特にナイトガンダムに思い入れがある!という方はまずまず楽しめると思います。
このゲームをプレイしてる人の大半が知らないようですが、登場キャラの大半がカードダスにいるキャラです。
モンスターなどのザコキャラはもちろん、ラスボスもバトルオブナイツでカード化されている機兵ガルグジオングです。