スーパーポテトで購入したファミコンソフトの福袋の中から出て来た「元祖西遊記 スーパーモンキー大冒険」。一体どんなゲームなのか?期待に胸膨らませレトロフリークを引っ張り出し少しだけプレイしてみたところ、これはまたとんでもねーものを摑まされたもんだと落胆した年明け。
聞くところによると、本作はファミコンの中でも屈指のクソゲーで有名なのだとか。ファミコンと共に成長してきた昭和生まれの私管理人ですが、まだまだ知らない世界があったと猛省。それほど有名なのであれば、クリアした先にどんなエンディングが待ち受けているのか?興味はある。そしてもしかしたら日本のどこかに私以外にもそういった方がいらっしゃるかもしれない。
よろしい、私がその役を買って出ようじゃありませんか。スーパーモンキー大冒険をクリアするぞ!
スーパーモンキー大冒険ってどんなゲーム?
まずはこの「元祖西遊記 スーパーモンキー大冒険」について、簡単にご説明いたします。
カセットと向き合う私。ここ数日で一番気が重いかもしれない
1986年11月21日、株式会社バップ(Vap)から発売された本作。バップと聞くと、当時のファミっ子であれば「ジャレコ」「ビック東海」と並んで、社名を聞いただけで不安な気持ちになる何かがあります。
時はバブル景気真っ只中。芸能界ではおニャン子クラブやカトケンがお茶の間を賑わせ、同じくファミコンソフトではあのドラクエがリリースされた年でもあります。
スーパーモンキー大冒険のジャンルを強いて言えばアクションRPG。プレイヤーは、孫悟空、三蔵法師を操りお馴染み猪八戒や沙悟浄を従えて、広大なフィールドを歩きながら道中現れる敵を2Dアクションパートで倒しながら天竺へ向かいます。
エンカウント時の戦闘は横スクロールのアクションパートとなり、孫悟空が自身の武器「如意棒」を振り回しながら戦い、ピンチになると自動で仲間が加勢しオートで攻撃をしてくれるように。
特徴的なのは、戦闘で消費した体力を徐々に回復してくれる水、食料のパラメータ管理。ただし水と食料が無くなると徐々に体力が現象していくというまさにトルネコや風来のシレンといった現代の和製ハクスラRPGの基盤となるシステムが採用されています。
ここだけ聞くと現在のゲームの礎のような印象もあり、アラやだ随分斬新なゲームだったのねと惑わされがちですが、実際には経験値やレベル、資金や装備品といったキャラクターの成長要素は全く無いため、エンカウントにビクビクしながらとにかくだだっ広いフィールドをトボトボと歩きながら天竺へ向かうという内容。
それでは早速改めてゲームを始めてみたいと思います。
スーパーモンキー大冒険プレイ開始!ところがまさかの全滅…
タイトル画面からスタートボタンを押すとゲーム開始。
ながいたびが はじまる..
まだクリアしていないPS4の積みゲーも多いし、正直あまり長すぎないと良いな、という想いが頭をよぎります。そしてこのメッセージの後、いきなり広大なフィールドに放り出されることに。
周囲に町があるわけでも看板があるわけでもなく、東西南北どこへ向かえば良いのか皆目見当もつかない。印も全く無い途方もなく広い大地を牛歩の如く進んでいくと、敵とのエンカウント発生。
敵が異様に速い!
戦闘は横スクロールアクション。操作する孫悟空はとにかくリーチの短い如意棒を突き出すのみ。物凄いスピードで駆け回る敵にどうにかこうにか如意棒を当てることでダメージを与えられます。やっとの事で敵を殲滅する頃、孫悟空は既に瀕死の状態。これはまずい。
で、またトボトボと歩き出す
歩いているうちに体力が徐々に回復。水、食料が無くなると、この回復ができなくなってしまいます。つまり、限りある水、食料を道中点在する家屋などで補給しながら、いかに早く天竺へ到着するかがこのゲームのコツ。
ゲームの流れが分かり始めた頃、再びエンカウント。
相変わらず敵が速過ぎて、如意棒が当たらない
如意棒のリーチが短過ぎて全く敵に攻撃が当たらない。しかも敵のあまりのスピードに孫悟空が追いつけず、体当たりをかわすのも四苦八苦。結果、雑魚戦でまさかのパーティー全滅!すると…
ああ しんじゃった!
あ〜
つい先日、妻の代わりに娘を保育園に迎えに行った時のこと。娘のクラスメートの男の子がふざけてドラゴンボール「ゴジータ」の真似をして私の股間を重点的にパンチ。保育園にはよくある話ですが、当たりどころが悪かったのか最後の一撃はズシンと下腹部に鋭い痛みが。
この男の子のパンツをずり下ろして木の枝に逆さに吊るし、父親の如意棒を鷲掴みにし「どういう教育してるんだアンタんとこは!」とキレ散らかしたい気持ちになったものですが、その時に似たいら立ちを覚えました。
投げやりなゲームオーバーコメント。やってくれるぜ、スーパーモンキー。
ついに天竺へ到着し、エンディングが…!
スーパーモンキー大冒険の遊び方は概ね理解。如意棒を振っている時は無敵状態であることを利用しつつ連打、トボトボ歩いて天竺に向かう、これが全て。ということで、広大なマップは数ある攻略サイト様を見ながら効率的に進めることに。
はい、やり直し
実際プレイしておいてなんですが、それにしても本作の攻略サイト運営者様は何故ゆえこんなゲームの攻略サイトを書き記しているのだろうか。一体どんな人間に向けて作られたのか?私のような人間ですね、本当にありがとうございます。引き続き攻略サイト様のお知恵をお借りし、グイグイ進めていきますよ。
やがてフィールドを歩いていると、突然メッセージが…
猪八戒か!?
戦闘に参加!
猪八戒が仲間に!
その後沙悟浄も仲間に!
道中猪八戒や沙悟浄を仲間にした喜びもつかの間、戦闘で参加するキャラクターの登場はランダムな上に別に強くもなんとも無いため、登場直後にいつの間にか戦闘不能になっていることも。
攻略サイトを見ながら、とにかくだだっ広いフィールドを突き進んで行くと…
デカい!
ボス登場!何、ボスとかいるのか!ちょっと感動。ちなみに周りをうろつくのは「偽孫悟空」なのだとか。彼らは放置してボスの頭部にひたすら攻撃を加えること15秒ほどで終了、その後メッセージも何も出ずに次へ。しばらく進むとまた新たなボスが登場!
デカい!
びっくりするほどさっきのボスと同じビジュアル。あと、時々画伯系の絵を描く人って、こういうの描くよねっていうデザイン。なんかヘンテコなボスを撃破し、尚もフィールドを進んで行くと…
なんだ?
またボス
途中女のボスキャラ「羅刹女」が登場。倒すことで後々登場する非ダメフィールドを通ることが可能。
さらにフィールドをぐんぐん進んで行くと…
ただものではなさそうなセリフ
強そうだけど絵が画伯
再びボス登場。浮遊する首が胴体と合体したタイミングで攻撃を繰り出して倒す、といった、珍しく気合いの入った仕掛けのあるボス戦。といっても30秒くらいで終わっちゃうんですが。
攻略サイトを読む限り、既にゴールである天竺のすぐ近くへいる模様。がしかし、進めども進めどもやっていること、周囲に見える風景はゲーム開始直後と一切変わらず。
やがてブロッコリー畑のような大地を抜けた先に、モニュメントなのか遺跡なのか、7つ建て並ぶ何やら怪しいオブジェを発見!中央に入ってみると…!
ここが天竺なのか…!
エンディングが始まった!
「ごくういっこうの
ながい ながい たびは おわり
これからちゅうごくの れきしが はじまる
おしゃかさまより
ありがたいおきょうを いただいて
ひとびとに おしえを つたえましょう
おしまい」
「ながいたび」の果てに、何やらスピリチュアルなメッセージが流れ、随分とあっさりしたエンディングが終了。その後はどれだけ待とうがどのボタンを押そうが何も反応せず。これにて終了となります。
クリア時間は約2時間。途中寝落ちの時間、やり直しの時間を含めると約5時間。
心を無にしてひたむきに物事に取り組む。この孫悟空を通じてそういった修行を実際に行うことがこの元祖西遊記スーパーモンキー大冒険の本質なのだろうと今確信しました。
最後に実際にこうしてエンディングを迎え、本作が面白かったかあるいは本当にクソゲーだったのかについて。
かつて本作をプレイしたファミっ子たちは、その誕生日にパパやママに手を引かれおもちゃ屋さんで買ってもらった暖かい思い出があるかもしれない。思い出は作り手だって同じ。ゲームソフトには、面白いつまらないだけでは測れない何かがあるでしょう。それがドラクエだったのかスーパーモンキーなのか、その違いだけなのだ。そんなゲームソフトに対し「クソゲー」と乱暴に言い放つのはどうなんだろうか?私は思います。ここはそういった想いを尊重すべく、敢えて今風にメタスコアっぽく申し上げさせて頂きますと、7点/100点の面白さといったとなります。
現場からは以上です。お疲れ様でした!