ドラクエの魅力って一体何だろう。転職やスキルポイント振り分けによる育成要素なのか、親しみのあるモンスター達を仲間にして一緒に戦うことなのか。
違う、鳥山明のパッケージでしょう。
そういえばドラゴンボールは海外でも人気があるし、さぞかしあのパッケージ達も愛されていることでしょう。と思っていたらどうも様子が違う様子。そもそもこのドラゴンクエスト、海外ではファミコン当時「Dragon Warrior(ドラゴンウォーリアー)」という何とも勇ましい名前が付けられていた模様。ドラゴンウォーリアーは日本と同じくファミコン(現地ではNintendo Entertainment System)にて1から4までがリリースされ、以降パッケージもタイトルも日本と同じ鳥山イラストのDragon Questに統一されましたが、このウォーリアー時代のパッケージがなかなか強烈でしたのでご紹介いたします。
海外のドラクエ3、4パッケージにはあのキャラクター達がいない!
まずはドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち。全5章のオムニバス形式で構成され最終章で一堂に介するドラマティックな構成と、「さくせん」により戦闘時の方針を決めることで主人公以外の仲間がオートで次々に攻撃を開始するAIシステムは、後々のRPGに大きな影響を与えました。
こちらがそのパッケージ。
最初に見た時は正直震え上がりました。
女性主人公を全面に出し、その後ろをシュッとしたイケメン勇者が振り向いている格好良すぎるデザイン。ヘナチョコな自分だって、このドラクエで格好良いメンズになりきって世界中どこへでも冒険に行ける。
一方で海外のパッケージは以下の通り。
敢えてシンプルな路線に寄せたのかもしれないけれど、鳥山明の格好いいキャラクターは採用されず剣とロゴのみ、超もったいない。
続いてドラゴンクエストⅢ そして伝説へ…。発売日は平日であったにも関わらず、前日には徹夜組の列が。池袋のビックカメラに並んだその人数は最終的に1万人超えに。購入やプレイのために学校を無断欠席する生徒が続出した他、購入できなかった少年らによる窃盗や恐喝が多発するといった社会現象を巻き起こしたとんでもないモンスター作品。
パッケージは勇者を中心に、男女様々な職業の仲間たちが勢揃いしたデザイン。これには当時パーティー編成に無限の可能性を感じ心ときめかせたし、メンバー性別や名前決めだけで多くの時間を費やした少年少女も少なくはなかったはず。
そんな超名作の海外パッケージはこちら。
こちらもドラクエⅣと同様に素晴らしい鳥山明氏デザインのパッケージは採用されず、剣とオーブのデザインに。
うん、悪くないよ?これも好きだし、ドラクエだってのは分かるんだけどね。でもねえ。…ええ〜?これドラクエⅢ?と、これじゃない感。少なくとも、あの自由に仲間を編成する賑やかな感じはパッケージからは見受けられず。
海外のドラクエ1パッケージはスーパーマン的な男と、なんか怖いドラゴン
印象的なパッケージデザインはここから。
シリーズ最初の作品であるドラゴンクエストの日本版パッケージはこちら。
巨大なドラゴンと対峙する勇者、現在のJRPGの礎を築いた名作。可愛いのに迫力のあるドラゴンと躍動感ある主人公の鳥山明イラストは、同時期に発売されたソフトのどのパッケージよりもキラキラと見栄えしていたものです、やっぱり鳥山明って凄いぞ。ドラゴンボールファンの多い海外でもこれは喜ばれたに違いない。
ところが海外版ドラゴンクエストことドラゴンウォーリアーのパッケージはこちら。
なんかスーパーマン感のあるウォーリアー。
日本語版の親しみのある絵柄から一転して、ピチピチのウェアに身を包んだお兄さんが(なのかオジサンなのかどうかすら分からないが)ドラゴンと対峙している姿。妙な躍動感はあるけれど、あなたは本当にロトの勇者なんですか?スーパーマンではなくて?
あと国内版ではあんなに親しみのあったドラゴンが容赦なく怖く、爬虫類感が凄い。
アメコミ感溢れる海外版ドラクエ2パッケージ
最後にドラゴンクエストⅡ悪霊の神々。シリーズで初めて仲間が加わり、戦略性が飛躍的に増した超名作。また、険しい岩山に囲まれたラストダンジョン手前にある「ロンダルキアの洞窟」は、ダンジョン長いわ落とし穴にハマるわ出現モンスターがザラキやメガンテを余裕で放ってくるわでシリーズ最難とも言われた。
そんな傑作の日本側パッケージはこちら。
僕はもう、一人じゃない。
ローレシアの王子、サマルトリアの王子、ムーンブルクの王女とお馴染み3人のメンバーがハーゴンと対峙しているビジュアル、ワクワクするじゃないか。まあ前作を含めてラスボス出ちゃってるあたり今となってはご愛嬌だけどね。
一方の海外版パッケージはこちら。
筋肉隆々!
後ろのサイクロプスも怖い!
筋肉粒々で汗がほとばしりそうなアメコミ感満載のメンズ達が、果敢にモンスター達に立ち向かっている。ローレシアの王子(多分)も怖いが、後ろのサイクロプスも怖い!もっと後ろにいるハーゴン(多分)は、ちんまりしていて逆に弱そうだけど。
そしてこちらがパッケージの背面。
誰なんだアンタたちは
漂うダンディズム
俺、16歳
ちなみに公式にはローレシアの王子の年齢は16歳。こう言っちゃなんですが、この絵を見る限りでは16歳というよりも40ちょい過ぎくらいの貫禄や渋みすら感じるほど。我々が思い描いているローレシアの王子と大分かけ離れている。うっすらと滲み出るフレディマーキュリー感も。
サマルトリアの王子も表裏でキャラクターデザインが異なりますが、彼は彼でこの脇役感。サマルトリアの王子って攻撃もなかなかで回復呪文も使えるもっとこうシュッとしたキャラだと思っていたけど。
俺?みんなのサマルトリアの王子だよ
例えば、国内のドラクエパッケージがもしも鳥山明ではなくてこの屈強な男達だったら、果たして我々はこんなにドラクエを買っていたのだろうか。それこそ1万人規模の行列を作った人たちもドラクエⅢの後に続くⅣのパッケージに描かれたムキムキのメンズを見て購入寸前で困惑したかもしれない。
ちなみにドラゴンクエストは5作品目からタイトルも改めて「DRAGON QUEST」となり、お馴染み鳥山明氏のイラストが採用されています。でありながら、かれこれ10数作出ているドラクエシリーズに対しては「このドラゴンクエストってのは、ドラゴンボールと何か関連があるのか?」と未だに思われているほど、引き合いに出されるFFと比べると人気と知名度はいまひとつ。筋肉隆々のドラクエも良いけれど、鳥山明も良いんじゃないですか?海外の皆さん。
この2の原画は梶山浩さんの作画です