DS版プレイ済みでSwitch版「すばらしきこのせかい -Final Remix-」をプレイした感想


2007年に発売されたニンテンドーDSの「すばらしきこのせかい」はとても良いゲームだった。タッチスクリーンと物理ボタンの一見不自由そうで極めて滑らかで画期的な操作感、バリエーション豊富な攻撃手段。そして特徴的なグラフィックやUIは、今でいうペルソナ5で感じた時と同じくらい衝撃を受けたもの。

我が家のDSは使用可能な状態にあるけれど、棚から引っ張り出してソフトを入れ替えて…とかするよりも、日頃持ち歩くハードで気軽に遊びたいよねとiPhone版をダウンロードしたら、イベント発生時にフリーズするという不具合対象だったようで。それ以来恋する中学生ばりにすばらしきこのせかいがやりたくて悶々としていましたので、今回現行機であるSwitch版がセールになったタイミングで買ってみました。

画面がひとつになって失ったものも。

Switch版すばらしきこのせかい、ダブルスクリーンではないけれどやっぱり大画面は見やすいな。

戦闘は相変わらず賑やかで直感的。敵をタップしただけダメージが与えられるだなんて、やりたい放題、爽快感の塊。

あのタッチパネルとボタンで別々のキャラクターを上下の画面それぞれで動かすことに対して、抵抗なく体に馴染む感動はすごかった。仲間が別々の空間で戦うということは、本作特有の距離を超えた精神的な繋がり、現実世界とパラレルさを上手に表現していたと思う。

ところが、今回は画面が一つということで、これまで別の画面で操作していたパートナーは主人公ネクと同じ画面で戦うことに。

シンプルな見た目になった一方で、あの非現実的な世界観が損なわれてしまった印象が。また上下に広がるフィールドで表現されていた奥行きもなくなり、閉塞感すら感じてしまうことも。

やり込み要素も強く、遊びの幅は相変わらず!

戦闘はそれぞれ効果の異なるバッヂをデッキに組んで、画面をタップしたりフリックしたりしながら攻撃、あるいは回復や補助を行うシステム。

バッヂを強化していくと進化するものもあって、ビジュアルやそもそもの使い勝手も大胆にガラリと変わっていく。最初全然使えないと思っていたバッヂを強化するとチート級の効果を発揮し出したり、それぞれ効果が千差万別。

タッチ式操作や画面内のオブジェクトをフル活用した仕掛けと彩り豊かなビジュアルで、戦闘はとにかく賑やかで楽しい。

コレクション要素も高め。見たことのないバッヂを入手した時の喜びも大きいのは、バッヂのバリエーションがとにかく豊富で、それぞれ異なる使い勝手が楽しめるからに他ならず。

当時斬新だったクリエイティブに感じる違和感も。

ご存知映像や音楽は個性的。

音楽は相変わらずキャッチーで楽しい。だけど、2000年代頭に流行りまくったミクスチャーなんかは今となっては多少古臭さも感じるんだよな。

映像の演出はほぼ変更なし。まあリメイクじゃなくて移植だからこれはこれで。

グラフィティアートがフィーチャーされているグラフィックも、今となっては違和感が。

確かに2000年当初大学生時代の多くを渋谷で過ごした私なんかは壁一面に描かれたグラフィティを見てきたしもちろん今でも行く先々で残っているけれど、今の渋谷がそういった文化を受け入れている街かというと疑問。かつてそういうカルチャーがあったよね、という感じ。

事実舞台となるセンター街をはじめ宇田川町周辺に目を向けてみると、既にHMVも無ければセンター街と駅を挟んだ反対の宮益坂方面には、スクランブルスクエアなる巨大な商業施設が斜向かいで繰り広げられる下々の営みを見下ろしながら象徴的にそびえ立っていたりする。金の無い貧乏な学生はセンター街で渋谷でなくても買えるファストファッションやカラオケ、安い大衆居酒屋で時間を潰し、トレンドに敏感なニュージェネレーションはヒカリエ方面でショッピングやグルメといったアーバンライフを楽しむのが渋谷の今なのであって。

若者の危うげな先行きをハチ公と一緒に見守ってきたアオガエルもついに撤去となり、20年近くとは全く違う渋谷がそこにあるわけで。

さらにシナリオはというと、当時やたら流行りまくったデスゲーム的サバイバルな内容。当時のトレンドを強く意識しすぎたせいか、今になって逆に古臭さも感じてしまう。そういうものの現代との微妙なズレが、懐かしさとも違う違和感として色濃く出てしまっている。今となっては。

セールで買った2000〜3000円代なら、大大満足!

自分の青春時代を過ごした舞台やプレイした時期もあってか特に思い入れのある作品でしたが、もっと評価されていい一本だと思います。今となっては古く感じるけれど、10数年前の渋谷系クリエイティブに溢れていて、街や人のエネルギーを感じる。

当初感じた衝撃は、単なる面白いつまらないでは言い表せないほど忘れられないものだった。これが思い出補正というものなのであればそれまでかもしれないけれど、単純に時代に感じるギャップだけでなく、DSならではの印象的だったマルチ操作が無くなってしまったのも少し残念。ある種中古のDS版でも同じくらい(か、それ以上)楽しめるんじゃないかな?とも思えました。

が、やはりこの爽快感や表現の豊かさは面白い。セールで買えましたが、大満足です。

ちなみにiPhoneの最新OSには着いていけていないようなので、アプリを買う時はご用心…。

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