room6様にご提供いただけました「和階堂真の事件簿(わかいどうまことのじけんぼ)TRILOGY DELUXE」。2階調風のドット絵が特徴的な推理アドベンチャー。
そもそも当サイトではあまりアドベンチャーは取り上げてこなかった。私管理人がミステリーや推理ものにとにかく疎いからなのだ。そんな推理音痴な私が果たして推理アドベンチャーなんて大層なジャンルをプレイしても良いのだろうか?
と思ったら、とても楽しかったぞ。
推理に集中できる2階調風のドット絵は超推理アドベンチャー向きだった!
火サスにしてもコナン君にしても推理自体は好きだ。
けれど、ゲームの内容に入る前に私の推理音痴っぷりについて申し上げると、これ系のジャンルにおいて真犯人を一発でズバリ言い当てた試しが無いのだ。
当てた試しが無いどころか「こいつは違うわ、俺には分かる。」と消去法で真っ先に真犯人を選択肢から外し、残った無実の人間を最後まで疑い続けてばかりだ。ハジメちゃんもともさかりえも呆れ顔だ。
しかしながら、そんな疎い私が恐る恐る本作をプレイしてみるとスッと物語に入り込め、脳が推理モードに入った。
今時珍しくないレトロゲーを彷彿とさせるドット絵、ボクセル風の映像が、この推理系アドベンチャーに思ってもいなかった効果をもたらしてくれた。推理に集中できるのだ。
RPGにしても何にしても、思い描く景色を都合よく想像するために私はゲームに音声を特段必要としないと考えたりするし、映像面でも見下ろし視点のドット絵くらいがちょうど良かったりすると思っているクチなのだ。そして今回推理系アドベンチャーもまた近い理由でこのドットが映えるのは新たな発見である。
80年代頃のレトロでジャジーでスモーキーな雰囲気もまたよし。
モデリングされたフォトリアルなグラフィックも良いのだけれど、ああでもないこうでもないとプレイヤーの想像力に委ねられるドットの顔から、登場人物の表情に想いを巡らせるのが楽しい。かと思えば、血の赤色を際立たせていたりとドキッとするようなドット絵の可能性を感じる。
さて、ここまでご覧いただいたところで全体的にこのページ自体寂しい色味になっておりますので、ここらへんでちょっと鮮やかな色味でも挟んでおきましょうか。
ゲームの進行は?捜査パートで情報を集め、推理パートで答え合わせ。
ゲームサイクルはシンプル。
怪しい場所を調べたり、エリアにいる人物に聞き込みをして新たな情報を得る捜査パートと、集めた情報を整理して答えを導き出す推理パートとに分かれる。
捜査パートではエリアにある人物と会話してたり、オブジェクトを調べることで物的証拠などを調べたりしながら情報を集める。
捜査の中で得た情報をセットして特定の人物に話しかけて新たな情報を得たり、移動できるエリアを広げたりしながらストーリーは進んでいく。
ある程度の情報が揃うと、状況を整理する推理パートに切り替わる。
「もしかしたら!」
「そういうことか!」
集めた情報を広げながら、自分なりの推理と答えとが噛み合う瞬間。推理の醍醐味である。一方的に話が進んでいく映画やアニメはよく推理を外すけれど、本作ではひとつひとつ和階堂さんと一緒に整理していけるので、少しずつ真相に近づいていく手応えを感じる。
「一緒に考えてみようか?」と、家庭教師の先生に手解きを受けながら理解できていくような実感。
4つのシナリオごとに体験がそれぞれ違う!サクッと楽しめ、最後までダレずに遊べてしまう!
エピソードは全4話。
収録されている4つのエピソードはそれぞれテイストや体験がまったく異なる。
一つ目のエピソードである「処刑人の禊」は、和階堂警部補が現役だった頃に担当したとある首無し殺人事件の話を孫に話すところから物語は始まり、いわばチュートリアル的な位置付け。
二つ目のエピソード「隠し神の森」では、人里離れた名士一族を取り巻く複数の登場人物の中から事象を整理してロジカルに推理し「この中にいます!」と言わんばかりの犯人当てが体験ができる。
主人公和階堂がいきなり容疑者となって始まる三つ目のエピソード「影法師の足」も予想だにしない結果でありながら、結末から遡ればバラバラの伏線がバッチリ回収される構成に感動。これは犯人をぜひ当てていただきたい、きっと騙されるから。
四つ目のエピソード「指切館の殺人」は嵐で孤立したペンションで起きる殺人事件とかつての名作「かまいたちの夜」を彷彿とさせる構成で推理しごたえもあり。個人的に一番楽しかった。
私は文章を読むのが決して早いほうではないのだけれど、じっくり読んでも2時間くらいで結末にたどり着けるので、どのエピソードも一切ダレずに最後まで進められた。
さて、今回お預かりしたのはSteam版。
メインPCがいわゆるグラボを積んだWindows PCではなくMacだったり、そのMacにインストールしているスチムーと私が持っている外付けのパッドの相性が非常に悪かったりするので、スチムーになると途端にリテラシーが下がる私管理人ですが、マウス、キーボードでの操作は非常に簡単だった。なんてことないや。
うーむ、なんかもう全員怪しい。
そして東野圭吾好きでBダッシュができない、私よりもさらにリテラシーの低い妻に本作を触ってもらったのだが、全く抵抗感なく楽しんでいたのでゲームに不慣れでミステリー好きな人でも問題なく楽しめることも分かった。
というより、先述の通り勘の悪い私は操作よりもアドベンチャーというジャンルそのものに抵抗感を抱いていた。けれど、全く迷うことなくゲームを読み進めて推理し、驚きの展開を楽しむことができた。ドットとアドベンチャーとの相性の良さを感じることができたのも収穫だった。
ぜひ犯人当てや、思いも寄らない結末にニヤニヤしてみていただきたい。
和階堂真の事件簿 TRILOGY DELUXE ダウンロード版 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)