3DSすれちがい通信の現在:都内の住宅地を10キロ走った結果。


東京都小金井に住んでいる、妻の知人に会いに行く機会があった。

私の住む東京都調布市からは距離にして10㎞といったところだ。しかし主な交通手段である電車を使うと、迂回して1時間近くはかかる見込みである。

だったら走っちゃおう。

3DSでも持って。

調布〜三鷹〜小金井の街を、3DSを持ってひた走る。

東京都調布市にある我が家から同じく東京の小金井市にある妻の知人宅の距離は走っても1時間近く。

物を受け取りに行くだけなので「走って来たよ」「走ってきたの!?」くらいのネタがあればそれだけでちょっと話に花も咲くだろうし、交通費を負担させてしまう申し訳なさも軽減されるだろう。

我が街調布市の人口は約22万人、小金井市は12万人、通過点である三鷹市は18万人。いずれも都心からは少し離れたベッドタウンであり、人口もそれなりに多い。

そんな住宅エリアには一人や二人、いやもしかしたら100人単位で3DSで遊んでいるプレイヤーがいるかもしれないし、3DS片手に走り抜ければすれちがい通信が発生しても不思議ではない。

ということで、3DSを袋に入れランニングウェアを着てスタート地点の調布駅へ。

「なぜランニングウェアを着て3DSを持っているの?変な人。」

写真を撮るためDSを掲げる私への目線が気になる。しかしそんな人々も3DSを持っているかもしれない。マイナスすら希望に変える。冷ややかな視線を振り切って、ついにスターターピストルの音が鳴った(頭の中で)

様々な人間や場所の間を3DSを小脇に抱え、通り過ぎる。

その日は土曜日。

通りを走る車の中ではキッズが、自宅ではゆっくり自由時間を満喫する方々が3DSを動かしているかもしれない。すれちがい通信をするには絶好の日よりである。

すれ違う人たちもランニングをしているこの男がまさかニンテンドー3DSを持っているとは思うまい。

と見せかけて、私以外にもランニングをしている方々だってもしかしたら3DSをポケットに入れているのかもしれない。

そしてお母さんの転がすベビーカーの中には3DSが、シニアの押す買い物カートの中にも食材に紛れて孫の3DSが入っているのでは?すれ違う人々に対していちいち希望を抱きながら走ること15分程度で三鷹市へ突入。

そこへスターバックス登場。

ゴシック体のフォントでデカデカと書かれる「ドライブスルー」の文字、イートインを頑なに拒むスタバの力強さを感じる。

しかしスタバを横切るだけで期待が生まれる。スターバックスと言えば、意識高い系の人間がMacBookでネットサーフィンする憩いの場所とお思いの方が多いかもしれないが、同社調査によるとその実態としては来店客の30%はMacを触るふりして手元で3DSをしており「君、フリーWifiをすぐに全店に付けなさい」と元スターバックスCEOが命じたとか命じなかったとか〜(多分命じていない)

そうこうしているうちに小金井市に突入し、賢そうな学生さんたちが大勢歩いてくる。どこだここは?

法政大学小金井キャンパス。

法大の学生ならば3DSをキャンパス内で持ち歩いてすれちがいに講じ、理系の学部では3DSを使った新しい技術について学んでいるかもしれない。これは期待できるぞ。

ところが、写真を撮ろうと袋から3DSを取り出す時に警備員のおじさんに不審な目で見られた。未来ある学生たちを見守る優しくも力強い眼差しだ。「危険物でも取り出すのか!?」でも残念、取り出したのは3DSなんですね。

全く縁のない地を走ると発見があって面白い。

普段は歌舞伎役者の見てるぞの看板も警察帽を被ると緊張感が増す。「お前が3DSではなくSwitchをやっていやしないか、俺は見てるぞ」そういう意味合いだろう。効果絶大だ。このエリアにも期待が持てる。

ニンテンドー3DSを持って住宅エリアを往復20km走った結果!

無事知人邸に到着し、期待通りの反応と会話を和やかに交わし、来た道を戻る。

10kmはさすがに長かったが、走る方向が変わるだけで見える景色も違い、来る時には隠れていたお店や何かが見えた、三鷹も小金井も迂回してでも電車でもう一度来てみたいなと思える街だった。

なんてことを考えながら走っているうちに、わが町調布市に帰ってきた。

交番を通り過ぎる。

ここでも一度写真を撮っておこうと袋を交番の前でガサガサしているとやはり警察官の方にチラ見される。「本官が逮捕するであります!」その右手は腰に備わった拳銃を握っていたように見えたので、そそくさと3DSの写真を収め、逃げるように帰路へ。

往復すること2時間半でゴール!

タイムは1kmあたり5分30秒。消費カロリーは1200kcal。荷物を背負って走った割には健闘したのではないだろうか。

しかし、本日の主旨はランニングではない。3DSのすれちがい通信なのだ。

住宅地である調布、三鷹、小金井を走り抜けた結果。

ん?

すれ違っている!!

なんとすれ違った!

久しぶりに光る3DSの通信ランプはいつもよりも眩い光を放っているようにも感じる。喜んでいるのか?喜んでいるんだな?3DS!

今回は「3DS、もはや誰とも繋がらなくなってしまいました。時代の移ろいを感じます」で締め括るつもりでいたのだけれど、自分でもびっくりしている。

すれ違った方をすれ違いMii広場で見てみる。

東京都にお住まいのまみさん!

調布市か三鷹かはたまた小金井なのか、もしかしたら車の中で遊んでいる方かもしれないが、3DSで遊ばれていたことは確かなのだ。古いゲームも大事にされる方に違いない。お会いしたことのないまみさんに想いを馳せる。もしかしたらまみさんも「すれ違ってる!?」と、ちょっとしたサプライズを覚えてくださったかもしれない。そういった意味でもやる価値はあったのかもしれない。

遊ばれていたゲームはポケモンX。

さすがに20kmはハードだった。しかし、運動しながらすれちがい通信も行える。一石二鳥じゃありませんか。

それじゃもう一度やるか?と言われたらやりたくないのが本音だし、1km地点で既に「こいつは長い戦いになりそうだ」と根を上げそうになったのも正直なところだ。次にやるとしても自転車には乗ることにしよう。

というか最初から自転車にすれば良かったな!今気づいたよ!

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