早くも今年のバカゲーオブザイヤーが決定いたしました。
ダンジョンズ3。
カリプソメディア様より先行的にプレイさせていただきましたが、このダンジョンズ3、パケ絵から判断して「世界に秩序を取り戻す硬派なダークファンタジー」みたいなものかと思っていたら全然違った。
タワーディフェンス&リアルタイムストラテジー型のシミュレーションではあるものの、下品、不謹慎、パロディ、なんでもあり、サイテーでサイコーなゲームだった。
個性の強いゲームなのに、どうしてそう多く語られていないのか?もっと広く知れ渡っているべきだ。という書き出しにしてみたものの、こんなに面白おかしいゲーム、正直人に教えず自分だけが知っていたい気持ちがどこかにある。
けれどやっぱり人に教えたいので、どこがどう面白いか説明しますね。
リアルタイムストラテジーとタワーディフェンス型のシミュレーション。
ゲームの内容は、憑依されたダークエルフ「タリヤ」が悪の軍勢を率いて、地下拠点にまで押し寄せる正義軍の攻撃を迎え撃ちながら地上世界を侵略していくリアルタイムストラテジー。
地上戦では、自軍を雇用して強化したモンスターで編成し、ストーリー上の拠点や、各種強化に必要となるダークエネルギーを生成する施設を制圧していく。
自軍を目的地まで導くと小さなユニットがワラワラと攻撃を開始するのは見ていて爽快。
一方拠点となる地下戦は、雇用や回復などユニットの管理を行う施設や、この地下拠点に押し寄せる敵軍を迎え撃つ魔法の習得やトラップの開発、設置を行いながら、コアとなるダンジョンハートを守り抜くタワーディフェンス。
敵軍が攻め入ってくるダンジョンの入り口からコアまでの通路にトラップを仕掛け、控えユニットを配置し、作業ユニット「チビ」のダンジョン内での活動を円滑にするようインフラを整えていると、自分だけのダンジョンに愛着が湧いてくる。
設置した罠や雇用したモンスターで勇者たちを返り討ちにする布陣管理の楽しさと、編成したユニットで人間の施設を侵略していくRTSの楽しさのバランスが絶妙。
とっつきにくいかと思ったら、全然そんなことはなかった。金脈を見つけてしまえば、あとは慣れ。
このRTS自体海外では一般的なのに対して日本ではあまり親しまれておらず、とっつきにくそうなイメージではあるけれど、このダンジョンズ3は全くそんなことは無かった。
しかしながら、少しだけ戸惑った部分についても書いておこう。そもそもチュートリアルですらテキストのクセが強すぎて、ところどころ入ってこなかったのだ。
まず、拠点の強化にしても仲間の強化にしても一番最初に消費するのはゴールド。どのようにゴールドを増やすか?それは、ダンジョンに散らばるゴールドを掘るのではなく、ダンジョンのどこかにある「金脈」を掘り進めながら探すこと。
チュートリアルでは既に掘り当てられた状態から始まっていたため、気がつかなかった。
そして金脈から得られるゴールドには上限があるけれど、ダンジョンのどこかに無制限にゴールドを増やすことができる「ダイヤモンド」もある。
金脈もダイヤモンドも掘り進めた先にゴールドが集中している箇所から発見されることが多く、この存在を知っていればもう「勝ち」である。
他にも主人公タリヤやユニットを強化するダークエネルギー、マナといった資源もあるけれど、とにかく最初はこのゴールドを増やすことさえできればユニットが枯渇することがないので、攻守共に継続しながらシナリオを進めることができる。
あとは手探りで30分ほど動かしていればあっという間にダンジョンズ3のゲームサイクルが理解できるようになるはず。
ユニットを追いかけてウォッチしているだけでも楽しい。
パロディ、下品、不謹慎、ダンジョンズ3の魅力はテキストの悪ノリ感。
さて、ここからが本題。
このダンジョンズ3の魅力は、テキストの悪ノリ感。
本作ではガンダム、ジョジョ、ジブリ、ファミコンのあの名作まで散々パロった挙句、不謹慎とも取れる放送コードギリギリアウトな言い回しに落とし込んでいる。
元ネタを知っているとニヤニヤできる一方でこれはさすがに怒られるんじゃないか?という表現にドキドキワクワクするのだ。特にポリコレや多様性への過剰な配慮がされ、顔色を伺いながらストーリーが描かれる昨今、これほど久しぶりに遠慮なしに楽しめる文面は久しぶりだった。
不謹慎狩りだって行き過ぎると作品の表現はどんどん乏しくなってしまうと私は思う。
その例として、家族で出かけただけで大炎上をしたアニメがある、サザエさんである。
ハラスメント界隈も厳しいご時世です、気をつけましょう。
ここ数年の世情もあってか、サザエさんがゴールデンウィークに家族で外出した瞬間、屋外での振る舞いに目を光らせていた不謹慎警察に待ったが入り、鬼の首でも取ったかのように騒ぎ立てたのだ。
サザエさんは本当にそれを望んでいるのだろうか?サザエさんに聞いてみてほしい。
メタ表現も多め。
サザエさんにまつわる炎上案件ついでにもうひとつ言わせていただくと(もう今日はサザエさんの話でいいかな)あの名脇役にして恐妻家でもあるアナゴくんも「世の中に主婦ほど呑気な仕事はない」と言い放ち、一悶着起こした前科がある。
ちなみにアナゴくんが慣れない家事に悪戦苦闘して最終的には妻に謝罪して一件落着となるお話だった。アナゴくんは恐妻家でもあるが、妻の弁当を喜びマスオさんにのろけ話をする愛妻家でもあるのだ。
文字では伏せても英語のナレーションでははっきりと発言している。怒られるぞこれは。
それじゃサザエさんは、この先ずっと食卓を囲んでカツオの悪知恵と波平の小言を聞くだけのアニメで良いのか?という話である。それはそれで楽しそうだな。
とにかく、その名のもとに過剰な不寛容さを助長していった「正義」に疑問を投げかけることこそがこのダンジョンズ3の意図することなのかもしれない!(良かったダンジョンズに戻ってこれた)
まだ言うか。
ダンジョンズ3、言いたい放題、サイテーで最高!
現在プレイ時間は20時間、不真面目で最高、全然飽きない。
大事なことを書いていなかったけれど、ストーリーも秀逸。ダークサイドに落ちてしまった主人公タリヤが、別人格として残ってしまった良心との掛け合いや葛藤の中で英雄たちに立ち向かっていく。このノリの中でどのような結末になってしまうのか?
肝心のゲームバランスはいたって真面目に作られている。ストラテジーなので、じっくり考えその通りに進行した時の達成感は、優しいRPGでは得られないほど大きい。だからこそ、不真面目さが際立っているのだ。
最後に、このダンジョンズ3はゲーム誌から各種プラットフォームのダウンロードページまで、あらゆる媒体に掲載されている説明文すら不真面目なので、読んでみてほしい。
洋ゲーやタワーディフェンスは縁が無い方もせっかくここまで読んでくださったのであれば、ぜひニンテンドーeショップの商品詳細ページだけでもご覧いただきたい。よく任天堂様もこれでOKしたと思う。気づかないことを良いことにしているけれど、これ後々怒られるんじゃないか?
全体的にふざけすぎなテキスト。
ゲーム本編に加えて、「ロード・オブ・ザ・キング」「むかしむかしあるところに」「イービール・オブ・カリビアン」などのDLCも収録。(どれもこんな調子)
おすすめの作品です。