義父母が遊びにきた。

大人同士の話に飽きてきた小4の娘が珍しくSwitchをいじり、我々夫婦と義父母はテーブルを囲んでおしゃべりをしていた時のこと。

Switchを持っていた娘が目を大きく開き「あつ森が初めからになってる！」と突然叫んだ。豆鉄砲を食らった鳩のような顔だ。

なぜだ？パパは君のあつ森なんて動かしていないのだが。まあよし。大丈夫だ娘よ。今はセーブデータをクラウドに保存してこんな時のためにバックアップしているのだよ。パパに任せておきなさい。こんな風にだね…。

…あれ？

…無いぞ？

「セーブデータお預かり」に、あつまれどうぶつの森のデータが無い…！！

あつまれどうぶつの森が「セーブデータお預かり」クラウドに無い！

心当たりはある。

あつ森のセーブデータが消えてしまったのは、先日聖剣伝説3リメイクでパッケージ版（古いバージョン）でだけ行えるバグ技を試そうと、Switch本体を初期化したからだろう。

だが、セーブデータはNintendo Switch Onlineの「セーブデータお預かり」にはバックアップされているはず。大丈夫だ。落ち着け。

無い…

…そんなバカな…！

おかしい。

Nintendo Switch Onlineに加入しているので、本体から「セーブデータお預かり」で、全てのセーブデータを確認するも、あつ森のセーブデータだけが無い。

初期化する時に、Switch本体に保存されているセーブデータは全てバックアップしたはず。敢えてあつ森だけチェックを外したりなどしていないはず。

何度も見返してみたが、結局あつまれどうぶつの森だけセーブデータを発見することができなかった。

なぜなのだ？

あつまれどうぶつの森は「セーブデータお預かり」に保存されない！

Switchを初期化したので本体からセーブデータを消してしまったのは理解できる。

しかし、新たに本体にセーブデータを保存し、もしクラウド上にあつ森のセーブデータが残っていたら、データの競合状態を確認できるかもしれない。

もう一度あつまれどうぶつの森を起動し、セーブを実施。

未開の地へ変わり果てた娘の島。

かつては仲間たちが暮らし、近代的な家具の揃った立派な家も立っていた娘の島は、原生林に張られたテントから始まった。裸一貫新たなスタートだ。

昔娘が可愛らしい家具を飾り回っていたかつての家を思い出しながらセーブをする。

あの時隣で楽しそうにSwitchを動かしていた娘の横顔が走馬灯のように脳裏をよぎる。

焦りと不安の入り混じった気持ちで、震えながらセーブデータお預かりを確認。

セーブデータお預かりに、なぜかあつまれどうぶつの森のセーブデータが入っていない！

もしやソフトが壊れてしまったのか…？

はたまた壊れているのは、焦りからくる私の認知能力なのか？

あつ森のセーブバックアップは、Switchオンラインに加入し、ゲーム側のバックアップ設定をONにしておく必要がある！

再びタイトル画面に戻ると気になる項目を発見。

各種設定とな。もしや、ここにバックアップ設定切り替えのような物があるのではないか…？

これはゲーマーの勘だ。

ゲーマーの勘…。

妻は「娘はそろそろ風邪を引く気がする…母の勘」と言った通り、数日後娘が罹患するエスパーのような勘をこれまで働かせてきたものだが、そういうのに比べるとなんとみっともない勘だろうか。

だが勘は勘なのだ！

たぬきちが登場し、同作の基本設定について案内してくれる。

ここに「セーブデータ設定」「セーブデータ復元設定」という今回の問題に直結しそうな項目を発見。

藁をもすがる思いでセーブデータ復元設定を読み進める。

どうやら、デフォルトではセーブデータのバックアップがされない状態となっているようだ。

だからクラウド上に保存されていなかったのか…？

そして任天堂公式サイトを調べてみると「あつまれ どうぶつの森 セーブデータ復元サービス：復元方法」について記載が。

すると、このあつ森については他のゲームのようにセーブデータが「セーブデータお預かり」にバックアップできるものではなく、ニンテンドーアカウントと連携した特殊なバックアップ方式になる模様。

バックアップされる設定になっていなかった…。

あつ森のバックアップについては、以下をしておく必要があるということだ。

・Nintendo Switch Onlineへの加入
・ゲーム中タイトル画面「各種設定」からバックアップの設定

つまり、他の一デフォルトではそういったバックアップ設定になっておらず、どちらかを行わないままSwitch本体の破損などによる交換、初期化により、本体のセーブデータを削除してしまった場合、復旧することは不可。

ゲーム側でバックアップ設定をせずにSwitch本体の初期化、交換などでセーブデータを無くした場合は復旧不可！

一般的なSwitchのソフトはセーブデータお預かりでクラウドに保存することができる。ソフト側で何か設定をしておく必要も無い。

しかし、このあつ森についてはバックアップ方法が特殊だった。

バックアップ設定が終わるとタイトル画面で日時が表示される。

結局私の場合、娘のセーブデータを削除してしまった。私のこの手で、そこまでゲームにどハマりしない娘が「イースターイベントがあるから」と、せっせとアイテム獲得に勤しみ、ローンの概念を学び、服をデコレーションしてきた娘の大事などうぶつの森のデータを。

かつては蝶が飛び、花が咲き乱れていた。

自問自答した。

もしお前（私）がセーブデータを消されたらどんな気持ちになる？

あれはファミコンで遊んでいた時のこと。転職を繰り返してやっとの思いで魔法使いと僧侶の呪文を使える戦士を作り出したことがあった。ところがある日家に帰ってから今度は戦士を強化しようというところで電源を入れると、あの忌々しい呪いの音楽とともに「お気の毒ですが、冒険の書は消えてしまいました」のメッセージが。

それからドラクエ3を初めてクリアしたのは、20年の時を経てからになる。

いままで費やした時間は何だったのだ。すっかり削がれるやる気、そういうことなのだ。そのショックは誰よりも知っているはずだ私は。

「せっかくイベントもせっせとやってきたのに、悲しいよね。ごめんね…」

何度も丁寧に謝った。

「お詫びに何か別の欲しいゲームを買うよ…」と伝え、先日お友達の家で楽しかった「スーパーマリオパーティースーパースターズ」を購入。そんな時ですら「マリオワンダーもあるよ？」「桃鉄ワールドも面白そうじゃない？」と、こちらが気になっていた、こちら都合のソフトを促していた自分の卑しさよ！

マリオパーティーを買った後、もう一度申し訳なかったと娘に話すと「マリオパーティー買ってもらったし、ラッキーかな」と話した。救われた。卑しいパパと違い娘の懐の深さよ。

その後「これまでせっせと返してきた家のローンとか博物館のコレクションとか、パパが進めておこうか？」と伝えてみたが、それはそれで最初から自分でやりたいと話した。そうだよね。ごめんね。

だがパパも学びがあった。同じ轍は踏まないため、そういうバックアップ方式のゲームもある！ということは肝に銘じておこう、これからも出てくるかもしれないし。ゲーマーの勘なのだ！