ゲーム会社で働きたい人へ!現役社員が語る「3つの心構え」は?


時が経つのは早いものです。ついこの間高校生になった同僚の甥っ子がいつの間にか大学卒業を控え、ゲーム会社への就職を希望しているとのこと。ウェブサービスを中心にデジタルコンテンツプロバイダーとしてソーシャルゲーム事業を担当している我々は、実際にゲームに携わる中で各々の仕事の苦労話から心構えの話になりました。
これからゲーム会社への就職を検討されている方、内定を頂けた方へ何かしらの参考になればと思います。
※コンシューマーゲーム会社ではありません。

メンバー紹介


20161231061979年生まれ
既婚(娘一人)
趣味:ゲーム、楽器
職業:企画職
好きなタイトル:和ゲー全般、レトロゲーム
ソーシャルゲームの企画にディレクターとして従事。主にゲーム内の新機能企画立案や進行管理を担当。

N氏プロフィール
1976年生まれ
既婚
趣味:旅行
職業:アートディレクター
好きなタイトル:FPS、ダークソウル3から和ゲーまで。
Webのクリエイティブ制作、管理やUI改善を担当。サービスを、よりユーザーに使いやすいユーザビリティに改修するお仕事。

T氏プロフィール
160607051979年生まれ
未婚
趣味:ゲーム、スノボ
職業:プログラマー
好きなタイトル:FPS、ダークソウル3、ディアブロシリーズ等コアなものから龍が如く等カジュアルなものまで多数。信長の野望等の歴史ゲーも好き。
プログラミングで新しい機能を追加する人たちを管理、マネジメントするというややこしいお仕事。

その1:ゲームの仕事も色々。ゲーム会社で何を担当したいのか?を明確に!

N「甥っ子もゲームするんですが、「ゲーム会社に勤めたい」って話してまして。」
私「おお、いいじゃないですか!」
T「ゲーム会社の仕事と言っても色々ありますよね。ソシャゲなのかコンシューマーなのか、プログラマーなのか企画者なのか絵や音楽を作るクリエイターなのか。そこは明確にしないとですね。」
N「具体的には聞いてないんですが。今は大学生なんですけど。」
T「コードは書けるんですか?プログラミングとかやってるんですかね。」
N「いや、確かそういう学部ではなかったような。ただ独学でUNITY(開発エンジン)とか触ったとか言ってましたね。」

私「UNITYか〜。」
T「存在くらい知っておくのは良いかもしれないですが(笑)」
私「T氏はいつからコード勉強したの?」
T「大学の時から。でも全然早い方ではない。」
N「早い人って小学校とかからやってますよね。僕なんか小学生の時そんな発想すら無かったですけどね(笑)」

私「小学生!まじか。」
T「プログラマーって「職人」だからね。正解って無くて、人によって仕上がりが全然違う。本当に凄いプログラマーって小学生くらいで普通に触ってるからね。Nさんとかウェブ制作いつどうやって勉強したんですか?」
N「ウェブ制作の勉強は就職するちょっと前に独学で覚えましたけど。なんとかなっちゃうもんですね。とりあえず「ゲーム会社であればどこでもいい!」とかであれば、小さな下請けのデベロッパー(開発会社)に務めるのは良いかもしれませんね。そこである程度経験を積んで、やっぱりゲームを作りたいっていう情熱が続いているならば、パブリッシャーに経験を説明して転職するとか。そうすれば企画できるようになる。」

私「企画職、ディレクターって、開発とかクリエイターとかみたいな職人とはちょっと違いますよね、仕事内容も必要なスキルも。企画は論理的に決裁者に説明できないといけないし、工程管理とかも雑に作ると漏れて後々しんどいことになるからね。」
T「繊細さが必要だよね。」
私「うん。プロマネ(プロジェクトマネジメント)とか本当は結構苦手なんだよね。基本大雑把だから、ガントチャートとか作ってても結構漏れる。まあ工程管理は丁寧にすればいいんだけど、肝心の企画だよね。」

N「閃きと論理的思考が必要ですよねノリだけで持って行っても速攻否決ですね。ウチの甥っ子大丈夫かな(笑)」
T「正直向き不向きありますけど、はっきり言わせてもらうと、ちゃんと工程管理できて、企画も論理的に説明できてる企画者って実際少ないですけどね。」
N「任天堂とかには「天才」がいるんでしょうね。今回のスイッチのゼルダやっていて本当に思いました。小気味よく出来事が起きるあのテンポも計算されているとしたら、逆に頭おかしいとしか思えない。というか、間違いなく計算し尽くされているんでしょうけど。正直凡人にあのレベルの企画やゲームバランス調整は無理ですね。」

私「センスですね。」
T「自分だけが面白そうだから、じゃただのポンコツですからね。

その2:ゲームのことを嫌いになる覚悟も必要

N「我々は期せずしてこうしてソーシャルゲームの仕事をするようになったわけですけど、実際にどうですか?」

私「楽しかったですけどね。ウチってめちゃくちゃ利益あったわけじゃないけれど、やっぱり自分の考えた機能が実装されて、ユーザーが使ってくれるのは嬉しいですよね。特にソーシャルって、リリースしたその瞬間からユーザーのリアクションが返ってくるのが面白いです。」
N「SNSとか掲示板とかにすぐに書かれますしね。」
T「たまに酷いこと書かれて心折れそうになりませんか?(笑)
私「俺の企画は結構公表だったんだよ!?(笑)でも新機能はユーザーも一瞬戸惑うことも多いからボロクソ書かれるよね。「運営無能」とか「金返せ」とか。心折れるなんてもんじゃないよ(笑)そのうち慣れちゃったけどね。その中のほんの一部で褒められるとやっぱり嬉しいですよね。「運営やるじゃん。」とか(笑)」

N「(笑)UIが悪くてもユーザーに叩かれますよ。というかお問い合わせとかクレームとか来ちゃいますし「どこにあるか全然分からないんですけど…。課金したくでも出来ないんですけど!」って(笑)」
私「開発もバグ出すと対応大変だよね。」
T「昼夜関係ないですよね。特に課金周り。たまに地獄でしたね。新しい機能入れるのは常にリスクを伴うから、本当に面白い機能だったり売れる機能じゃなかったらやってほしく無い事もあるんだよね。これちゃんと考えてるのかなってよく思ってた。バグ出たら出たで開発の責任になっちゃうし。」
N「企画も大変ですよね。」
私「はい。シミュレーション通りにKPI(Key Performance Indicatorの略称、課金率やアクティブユーザー数といった指標の中でも「キー(重要な)」となるもの)動かないと怒られますしね。自分では売れる!って確信があっても決裁者が余計な口を挟んでくると、最終的には全く違うものが出来上がりますからね。それで売れても売れなくてもなんかあまり嬉しくないですし。もちろんそれを押し通すバイタリティがあれば良かったんでしょうけど。」

T「自分一人の企画はなかなか難しいよね。特にウチの会社はそういうところあるから。」
私「実は一時少しだけ転職活動をしたんです(笑)」
T「マジで(笑)」
私「うん(笑)自分がやってきたことがそれだから、転職先もゲーム会社かな、と思ったんだけど、4、5年経った今は全くゲーム会社で働きたいとは思わない。」
N「ですよね。僕もです。」
私「他のゲームを見ちゃいますよね。自分たちが携わるプロジェクトと無意識に比較します。ゲーム事業から離れた今でもそうです。ソシャゲとか見ると「ああ、マネタイズ上手にできてるな。」とか「えげつないな、これユーザー怒ってるだろうな。」とか、あるいは楽しい機能とか目の当たりにするとやっぱり嫉妬するのは正直なところです。」

T「見ないわけにはいかないし?」
私「そう。結局競合調査とかマーケティングしなきゃならないから、都合の悪いものは見ない、みたいなことはできない。」
T「そこから学べるものもあるしね。」
私「その通りです。幸い僕はあまりソーシャルに思い入れが無いけど、仮にコンシューマーの仕事していたら任天堂とか好きじゃなくなってたというか、純粋に楽しめなくなっていたと思う。」
N「自分達は出来ていないような凄いゲーム作ったな…ってですよね。」
私「そうです。もちろん楽しそうな裏にはちゃんと楽しいと思える根拠に裏付けされた企画を考えて考えて説明して承認されてっていう苦労があるんでしょうけど。」
私「あと、基本的にソーシャルは枕を高くして寝られないかも(笑)ユーザーが遊ぶ時間は昼夜休日関係ないから、どうしても売り上げの進捗とか気になっちゃうしね。」
T「企画大変だよね。我々も気にはするけれども毎日毎時間は気にしないからね。」
私「土日あまりにも売り上げが悪かったから、急ぎで月曜日に新機能投入しよう、みたいな話になることだってあるしね。ワークライフバランスとか一切関係なし!それを楽しめればいいんだけどね。土日は一切仕事のことしません!っていうスタンスはまず無理。というか、無責任。」

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