オリンピック評議会により、2022年のアジア競技大会で正式にメダル種目となった「eスポーツ」。世界では億単位の賞金を求め、プロプレイヤー達がしのぎを削っています。
そんなeスポーツですが、こと日本においてはゲーム大国でありながらまだまだ知識も経験も浅いと言われており、我々の日常生活においてもあまり馴染みの無い文化です。いったいどんなプレイヤー達がどんな場所で戦っているのか?会場ってどんな雰囲気なのか?
eスポーツド素人の私が、注目度の高いeスポーツの会場に潜入して参りました。
家庭用ゲームプレイヤーがeスポーツバーに行ってみた
さて、最初に私の話で恐縮なのですが、普段は主にPS4、ニンテンドー3DSといった、いわゆるコンシューマー(家庭用)ゲームを自宅でプレイしております。そしてこのeスポーツにはほとんど触れておらず。なぜなら私自身アクション性のあるゲームは大して得意なわけでもなく、とりわけ人とプレイするゲームにおいては苦手意識もあり、協力すれば足を引っぱり、対戦すればボコボコにされるのが目に見えているため、自分がプレイするとなるとどうも敬遠しがちでした。
そんな折、eスポーツに造詣の深い知人に「vainglory(ベイングローリー)というゲームの東アジアトッププロリーグの決勝大会があり、注目度も高いので一度ご覧になってみては?」と紹介していただき、開催地である秋葉原「e-sports SQUARE」に行って参りました。
2017年5月27日(土)、会場となる「e-sports SQUARE」は、東京はオタク文化の聖地秋葉原。電気街の大通りから一つ奥に入り、ジャンクショップが立ち並ぶ通りにお店はありました。
当日のオープン時間は午前9:30。紹介してくれた知人はオープン直前に到着し、すでに長蛇の列が出来ていたとの事。30分後10:00に私が到着すると、店内は満席となり立ち見状態、既に200人ほどは入っていたと思われます。その後30分経たないうちにお店は入場制限がかかり、以降のお客さんが入れなくなるという大盛況ぶりでした。
お店は完全にスポーツバー。お客さんのタイプは?
店内にはゲーム画面が見られるモニターが多数設置されていて、正面に大きなスクリーン、バーカウンターや両サイドなど、混雑時でも様々な場所から見られるようになっています。
バーカウンターでアルコールやソフトドリンクなどを注文し、椅子に座ったりテーブルを囲んで立ち見をしたり、まさにサッカーや野球などのスポーツ観戦をするスポーツバーそのものです。
秋葉原という立地や試合の内容がゲームということもあり、客層は俗に言う「オタク」の方かと思いきや、まるでスポーツを見に来ているかのようなカジュアルな若者ばかりでした。年齢層は概ね20代前半。男女比は8:2といったところで、2割も女性がいることにも驚きました。
大学サークルの飲み会みたいな出で立ちの女性もちらほら
今回の競技となるゲーム「Vainglory」のプレイヤー属性は20歳前後くらいとのことです。
試合開の前に、競技となる「Vainglory」ってどんなゲーム?
試合開始のお店の雰囲気をお伝えする前に、競技となる「Vainglory」について素人目線で乱暴に説明しますと、好きなキャラクターを選び、3対3のチーム戦で敵の陣地を制圧するスマホ(タブレット)のゲームです。
もう少しちゃんと説明すると、相手に攻撃を仕掛けたりあるいは仲間をサポートしたりしながらリアルタイムで自分のキャラクターを操作し、チームで戦う「リアルタイムストラテジー」「MOBA(モバ)」などと呼ばれるジャンルです。チームメンバーは自身と同じく他プレイヤー(人間)が操作します。
このVaingloryは基本無料なので、スマホを持ってさえいれば誰でもいつでも始めることができます。ただし国内ではあまり馴染みの無いジャンルでもあるため、日本のゲームに慣れ親しんだからといって活躍できるとは限らず、逆に家庭用ゲームを全然してこなかった人が大活躍する可能性を秘めていたりもするようです。
試合開始!会場の盛り上がりは?
いよいよ試合が開始されます。
みな店内のモニターに注目するかと思いきや、モニターはもちろんのこと、手元のスマホで中継を見ながら盛り上がっている姿が印象的でした。本来テレビやモニターを見ながら盛り上がるのがスポーツバーのあるべき姿という先入観もあり、少なからずある種の違和感を覚えましたが、プレイヤーの見事なプレイを見ては周りの人たちと盛り上がる姿はまさにスポーツバーさながら、本質的には全く違いないと感じられました。
プレイヤーのスーパープレイに歓声が上がる
またこの日は日本から1チームと残り3チームは韓国勢でした。東アジアは世界でもレベルが高く、中でも「Invincible Armada」という韓国のチームは昨年の世界チャンピオンとのことです。サッカーで言うスタメンにあたるチーム編成の段階でもざわめきが起きたり、試合中のスーパープレイでは都度大きな歓声が上がったりしていました。
最終的に残念ながら我々日本のチームである「DETONATION GAMING」は惜しくも世界チャンピオンに敗れてしまいましたが、会場では落胆の声が上がっていました。
eスポーツの楽しみ方は一般的なスポーツと同じ!
今回伺ったイベントに向けて私もこのVaingloryを既にプレイしていたため、何度もエキサイティングな気持ちになりました。正直予習無しで試合を見ていたとしたら「いったいどこで皆盛り上がったんだ…?」と蚊屋の外になってしまい、楽しめていなかったと思います。
おそらくサッカーや野球の試合と一緒で、ルールが分からなければいまいち楽しめないでしょうし、ルールを知っていればプレイヤーのスーパープレイやドラマにも感動でき、より深く試合を楽しむことができます。
今後eスポーツがオリンピック競技としても扱われるようになりますが、少しでも楽しんでみたい、と考える方は、まずは競技対象となるゲームをプレイしてみるのが良いと思います。ルールをある程度知った上で観戦すると、スポーツ観戦同じ感動を味わうことができることは必須です。
まだまだ日本においてはニッチな文化といえますが、これだけ我々を楽しませてくれる、今後盛り上がるポテンシャルを十分に秘めていると感じました。