TGS(東京ゲームショウ2018)に行って参りました。全体的な会場の印象については別途記事にさせて頂きましたが、その中でセガのブースであの龍が如くの総合監督名越稔洋氏のトークイベントが開催されていました。発売直前にして突然発表されたPS4の新作「JUDGE EYES(ジャッジアイズ):死神の遺言」について、コンセプトや主演キムタクこと木村拓哉氏の起用、本人の魅力について語られていました。
同作は体験版にてプレイ(木村拓哉主演PS4「JUDGE EYES(ジャッジアイズ)」をやってみた感想)いたしましたが、こういった作品を作るに至った経緯や想いを聞くと、さらに作品に対する期待が高まります。
それではイベントでの名越氏のコメントについてご紹介いたします。
木村拓哉演じる「八神 隆之」とはどんな主人公ですか?
名越稔洋氏「元々は弁護士で。絶対有罪間違い無しって言われたものも無罪にできた、弁護士の世界で言ったら本当にヒーローになれたんですけれども。今回弁護した被告が間も無く新しい犯罪に手を染める。それも自分の恋人を刺し殺して火をつけたっていう残忍な手口を知った時に、彼は弁護士として助けたという行為そのものが何か間違っていたんじゃないか?というところにトラウマを持ってしまって。今は探偵をやっている。まあ探偵をやっていると言っても、結局飯の種にしているのは昔の自分が世話になった弁護士事務所から調査依頼の手助けをしてそして金を稼いでいる。が、まだちょっと未練も持っているっていう微妙な、ちょっと斜めな感じスターという。どうしても印象的には真っ直ぐなキャラクターの感じがするんですけど、僕らからすれば屈折したスタートラインのキャラクターです。」
ジャッジアイズを作るに至った経緯は?
名越氏「同じシリーズを作り続けていると、やっぱり違うものも作ってみたいなという欲求も自分の中で溜まっていって。もともと僕はリーガルサスペンス物っていうのは映画とかでも好きでよく観るんで、自分がやりたいと思うこと、それからこれまで積み上げてきたものを違う形で応用したいなと思って今回思い切ってやってみたいなと。シリアスなタッチが似合う色使いであったり、技術的な調整を含めて良い感じで作れたんじゃないかなと。」
ジャッジアイズのこだわりは?
名越氏「舞台を観ると神室町というかつて見たことのある街並み、という人もいると思うんですけれど、中身は本当にゲームの内容含めて完全新作として我々取り組んでいますし、熱いドラマもありながらリーガルサスペンスという緊張感の高い演出、そういうドラマ。我々としては、熱くて希望が持てるドラマ性、コンテンツを常々作りたいと思っているので。やり終わって最後に感じるのは「また明日から頑張ろう」みたいな気持ちにさせてくれるようなものにしよう、ってことは変わりなくやっているので。導き方というんですかね、そこが今回は今までの龍が如くシリーズとは全然違うアプローチになっているので、また新鮮に感じてもらえるんじゃないかと。」
名越氏「ゲームの中身として、桐生一馬という以前のシリーズの主人公がいた中で、街の人にアクセスして街の場所で何かをするっていうそれよりもっと深いアクセスができるようにしたかった。そういう仕組み自体は今までもあったんですよね。ところがゲームの進行上必要性があまりなかったので。今回は調査というひとつの括りの中で色んなことができる。尾行をしたり、探偵ですから。写真も撮るだけじゃなくて、写真の撮り方がどうだとか、深く追求したかった。」
木村拓哉さんキャスティングの背景は?
名越氏「いろいろ知り合いから連絡が来たり、業界関係者の方だったり。昨日もパーティーありましたけど、散々質問されて(笑)一回何か会ってみない?って良くしてくださる方がこんなに気軽に言ってくださって。僕も見れるもんなら見たいと思って。「会う」っていうより「見たい」っていうか、見学したい(笑)それが実際に叶って話をしたらたまたま気が合って、なぜか見学のはずが連絡先まで聞けて。で、そこで話すようになった。もちろんその時「ジャッジアイズ」なんてタイトルもないですけど、こういうテイストの作品を作ろうと言ってた時に、仮にもしその主人公のセリフを彼がやってくれたらなあ、とチームの中でも話してたんです。ダメ元というより、ダメ元以上にダメ元ですよね(笑)で、(本人に)聞いたら「やりたい」って言って。いまだに「なんでかなあ…」と思うんですけどね。(笑)」
木村拓哉さんの魅力、印象は?
名越氏「好奇心旺盛なんですよ。私が手がける主人公の中でキャスティングで協力いただいている方ってみなさん共通してるのは間違いなく新しいことに興味が高い。アーティストの方も出てたと思うんですけれど、その中でも特に。どう作られていくのかといった好奇心が強い。映画とかでも映像の中に入っているCGってどういう風に作られていて、またそれがどういう風にこう映像として送られていくのか?そこまで彼は興味がある人なんですよね。新しいことだったからこそ素直に、未知数だったからこそ演じて頂けたんじゃないかという気持ちですね。」
木村拓哉の起用で感じたやり甲斐、手応えは?
名越氏「たくさんドラマや映画のアーカイブがある方ですから、彼の声もなんとなく思い出すと何かのセリフを思い出してそれが頭の中で響くようなところがあって、それに応えていかなきゃなっていうこともあり。今回は今回でオリジナルの作品なので、あ、こんなことも言うんだ、こんなこともするんだ。っていうところも、良い意味で裏切りもやってこそ驚きもあるので。あえて言えばいじりがいがあったなっていうのはあります。手応えがありますそこは。」
名越氏「キャスティング最初は声だかから使うととして、ご本人が登場してという流れになっていって。それがまあまあ似てるっていうレベルからかなり似てる自分らの仕事を振り返って考えると、そっくりになればなるほど、オリジナルのキャラクターはいるわけで、そこのトーンがあまり近寄りすぎても違う世界の人間がひとつの画面の中に無理やり押し込められたような感じはあまりよくない。そのヘンの調整はやればやるほどたくさんありますよね。」