テイルズというゲームがありますね。
直接キャラクターを操作してダメージを明示化させることで、アクション要素を残しつつRPG感を強めてドタバタ闘うそういったゲームですが、説明雑過ぎてファンに怒られそうだな。
そのひとつである「テイルズオブヴェスペリア」を購入から2年後、やっとクリアしました。
クリア時間は160時間。160時間もあればもっと有意義なことができたかもしれないけれど、うち半分は放置レベル上げと寝落ちによるもの。とか申し上げると本当に面白かったのか?と疑わしいですが、本当に面白かったので、感想を述べたい。
そもそも「ヴェスペリア」っていったいなんだ?
プレイしたことはなくとも、皆様テイルズオブヴェスペリアの名前くらいは耳にされたことがあるかと存じます。
それじゃ「ヴェスペリア」ってどういう意味なのか?という話である。
それでは皆様ご一緒に。はい、「tales of Vesperia」。
調べる前に考えてみることにする。
10人以上のメンバー構成で、ハードコアやクラシックの世界観をギター、ベース、ドラムの他にヴァイオリンやピアノ、DJなどの楽器を混ぜた「Vampilia(ヴァンピリア)」という鬱っぽいポストロックバンドがあるけれど、そのブルータルな世界観から察するに「残酷」「悲しさ」みたいな意味でしょうか。
これがvampillia。
確かにヴェスペリアはパッケージの割にストーリーがちょっとダークだった。きっとそうに違いない。「悲しみの物語」。
調べた結果、「宵の明星」であるVesperをラテン語っぽくした造語なのだそうな。全然違った。ちょっとマジで考えて損した。
そもそもちゃんとストーリーでもわざわざ当て字で説明してくれていた。なぜ覚えていないのか。自分が情けなくなりますよ。
ほいでこれがvesperia。
戦闘は後半にかけてド派手になっていく。無双するにはスキルやメンバーの組み合わせが大事。
まずはテーマを理解するところから始めようとしていきなり失敗しましたが、これは信じてほしい、ヴェスペリアは良かった。
ヒロインがスポット参戦且つ本編では全てのエピソードが描かれない不完全作品として大炎上したゼスティリアや、ヘンテコなバランスと極端にボリュームの少ないDSのテンペストみたいな黒歴史を多少挟みつつも、シリーズは概ね面白い。というか、基本面白い。
「黒歴史」呼ばわりのテンペストも私は嫌いじゃなかったけども。
その中でも特にこのヴェスペリアは特に手堅い仕上がり。
まず、肝となる戦闘。
脳筋ゴリ押しでなんとかなってきたシリーズの中でもバランスが絶妙。
メンバーを鍛えてあとはオートにしておけば勝手に無双してくれるシリーズもあるけれど、この作品はそうもいかず。
個性豊かなキャラクターと、それぞれの多彩なスキルとを組み合わせないと、雑魚戦でもそれなりに苦戦を強いられることに。
試行錯誤の末に勝ちパターンを見出して、初めて相手をボッコボコにできるのだ。
さて、テイルズシリーズは割と序盤中盤から惜しみなく秘奥義を出せるタイプと後半まで勿体ぶるタイプがあって、このヴェスペリアは後者。
技の数も多く、クリア後の隠し要素を経て、さらに派手さはましていく。クリア後が本番のやつだこれは。
メンバーも個性豊かで、よく攻略サイトなんかでは誰々が最強、最弱、なんて評価をされているけれど、いやいや最弱と評されているキャラ、ウチでは超エースで頑張ってますけど?というケースも珍しくなく、どのキャラも使っていて楽しいし戦略も幅広い。あまり流されずに自由に使ってみるのが良さそう。
技もバンバン覚える。
ストーリーも良好。思っていたより暗かったです。
厨二満載だけど、いい大人が向き合うと胸熱になるストーリー。そういうまっすぐな大人に育って良かった。お父さん、お母さん、ありがとう。
メンバー全員生い立ちや境遇に大きな闇を抱え、克服していく様や受け入れたり報われなかったりするのがドラマティック、重いぞ。
こじつけ感あるけれど、このヴェスペリアも思ってたよりストーリーがダークだった。なので、冒頭で申し上げた「残酷」とか「悲しさ」とか、あながち間違ってはいないのではなかろうか?力一杯間違っているな。
だとしても、厨二かどうかがプレイするしないの判断基準になってしまって本当に良いのか?答えはNOだ。
ストーリーの進行上メンバーの入れ替わりの激しく、「こんな時にあいつが居てくれたら…!」というタイミングで現れてくれるもんだからたまんない。
唯一の不満は、時々AIがアホ。
ただひとつだけ不満があるとすれば、AIが時々アホの子みたいにボーッとする。
30秒くらいボーッとしてから思い出したかのように動き出すことがあり、オートかマニュアルにしてしまっているんじゃないか?と確認してしまうほど。
…。
…。
はっ。
すんません、忘れてました。
他のテイルズって「これこれ、およしなさい」と言わんばかりに動き回っていてくれた気がするけれど、こんなもんだっけ?他の仲間が代わりにせっせと働いてくれるからまあ良いのだけれど。
うちの猫が時々人間には見えない何かを察するのか、しばらく一点凝視してから突然走り出すことがあるけれど、そういう感じ。
一点を見つめたまま突然固まるのだ。そこに何がいるというのだ。
クリア後要素のボリュームが凄い。
そしてクリア後の要素が豊富。
おなじみ本編で貯めたグレードを使った周回プレイはもちろん、街もダンジョンも問わず、行く先々で突然発生するイベント。
あちこちへお遣いさせられることもなく、その場でサクッと新技覚えてしまうイベントもとにかく多い。お遣いもあるけど。
あと、クリア後の要素も隠しボスくらい終盤になってくると、お互いの攻撃が激しすぎて、誰がどこで何をしているのかよく分からない。だいたいで戦っている。
にも関わらず(であるが故に?)本作の隠しボスはシリーズ最強だったらしい、確かにクソ強かった。
裏ボスを倒す頃にはバランスもすっかり大崩壊しており、その後本編のラスボスに挑んだら10秒くらいで倒せるようになっていた。
いや、最後の最後まで凄いバランスを保っていたと思う。クリア後まで丁寧に気合入れてじっくり作られた感じが伝わってくる。
もう一度、いい大人が恥ずかしげもなくテイルズテイルズと言うのも何ですが、私は何も考えずド派手に無双できるこのシリーズが好きでした。が、脳筋プレイするまでにひと工夫することこそがこのヴェスペリアの楽しさであり、ゲームの楽しさだと思う。
その後、これまでの苦労を労うようなぶっ壊れバランスを楽しめるのもまたよろしい。
レベルも最大化し、最強の武器も取った。だけど、多すぎる技やスキルは全て習得できていなかったり、プレイの密度はさておいても160時間プレイしてもまだまだやり込み要素がある。
けれど、全部集めていたらきっと今年いっぱいはこのタイトルだけになってしまいそうなので、このくらいにしておこう。
積みゲー消化!