玉ねぎは辛い。
けれど、その糖度は甘いもので10%を超え、フルーツ並みのものもあるのだそうな。だからと言ってヨーグルトに入れたり、朝フルーツの代わりに丸かじりしたりするには抵抗がある。生の玉ねぎなんて辛に決まっている、コオロギじゃないんだから。
ところがそんな玉を味ぽんに漬けて食べると美味いのだそうな。
うっそだ〜?
まずは見てください。味ぽんダイブ。
まずはこちらを見てほしい。
「噛み癖のあるワンちゃんがおとなしくなる」心温まる動画をYouTubeで観ていたら、突然流れてきたミツカンのCMである。
アボカドやサーモンなど、あの味ぽんにさまざまな食材を漬けて食べると美味い…みたいなもので、この手のプロモーション映像は正直眉唾である。そういう宣伝には乗らない主義だ。
玉ねぎを適当に切って、タッパーに入れて味ぽんに漬ける。
それでは早速作っていきたいと思います。
プロモーション映像では輪切りになっていたけれど、ついいつもの癖でカレーやシチューを食べる時のようなくし切りにしてしまった。ちょうど腹ペコだったので、もう味ぽんじゃなくてカレーを作ろうかな?と心が揺らいだ。
そもそも宣伝に乗らない主義と言っておきながら軽々と乗ってしまい、冷蔵庫の味ぽんが少なかったので「新しく一本買っておいて」と妻に言われてマルエツへ走った自分に腹が立ち、最後まで作ってやろうと思った次第です。ミツカンの思う壺である。そんなことを考えながら玉ねぎを切っていると、止めどなく涙が溢れてきた。これは玉ねぎの成分なのか、はたまた不甲斐ない自分へ湧き上がる感情なのか。
涙をボロボロ流しながらタッパーに詰めこみ、味ぽんに漬けて蓋をする。
あとは冷蔵庫に入れて放置だ、くそ。
一晩漬けた結果、美味いぞ…!
翌日。
20時間ほど漬けた状態で冷蔵庫から取り出す。
玉ねぎの表面に味ぽんの色が染み込んでいる。
だがしかし、中心はまだ白い。生の玉ねぎなんて辛くて食べられるはずが無い。
一晩漬けたくらいではほらこの通り辛…
…美味い!
ほんのり玉ねぎの辛味はあるけれど、食感ザクザク、玉ねぎの漬物に変身した。あの動画は嘘ではなかった。
ただ、口の中が凄い玉ねぎ!
人と会う日の前は食べるのは控えた方が良いかもしれない。テレワークで良かった。しかしたった一晩でこれほどまでに味が染み込むとは。玉ねぎには疲労回復や血行促進などの効果があると言うけれど、玉ねぎが全身を駆け巡る。そう、私は玉ねぎマンだ。
二日漬けたら残り全部食べそうになる美味さだった。
玉ねぎマン、もう一日漬けてみたので報告したい。
一晩漬けたよりもさらに中身まで染み渡り、明らかに白い玉ねぎの部分が減っている。玉ねぎマン、少し心配だ。
実食!
美味い。
昨日よりも玉ねぎの辛味が薄まり、ポン酢の味がしっかりと染み込んでいる。それでいて食感は昨日と変わらずザクザク。白菜の漬物のような口当たりでありながら歯応えがある。
うっかり全部食べてしまいそうなほど美味い。目から鱗、いや、目から玉ねぎの皮だ。その昔、戦続きと山に囲まれた立地により食料不足に悩まされた武将がいた。それを見かねて、かつて熾烈な戦いを繰り広げたひとりの男が牛100頭を使って玉ねぎを送った、後の上杉謙信である。みたいな逸話があったとか無かったとか!
しかし!まだまだ玉ねぎの香りが強い!このまま出社したら「昨日玉ねぎとかたくさん食べました…?」とか聞かれるほどに玉ねぎの香りが残っている。スメハラだなんだと様々なハラスメントが取り沙汰されている現代である。玉ハラに抵触して懲戒!とかになって吊し上げられるのも困る。玉ハラって、なんだか嫌だな。
三日目、玉ねぎの辛さが消え、さらに味がしっかり染み込んだ。しかも食感そのまま!
全部食べてしまいたくなる気持ちを抑えて三日目。
さらに色が染み込んでいる玉ねぎ。
実食!
さらに味が染み込んで、食感もザクザク。そして玉ねぎの辛さがほぼ消えた。
美味い!
お酒が進む。しかも、玉ねぎひと玉は30〜40という飴玉2つ分くらいの低カロリー。味ぽんが染み込んだところでどうということは無いだろう。(だが塩分には注意だ!)
4日漬けたらどうなったのか検証したかったけれど、3日目で食べ切ってしまった。半信半疑だったので、玉ねぎを1玉しか使わなかったからだ。今度は100個くらい漬けたい気持ちだが、家中味ぽんだらけになってしまうと妻から大目玉を食うことになりそうなので、やはりひと玉を3日くらい漬けてちびちびやるのが一番良さそうだ。
一晩でも美味いが、漬ければ漬けるほど玉ねぎの辛さは和らぎ、我慢すればするほど味ぽんの旨味が染み込む。玉ねぎマンは次にまた作った時、我慢できずに2日で平らげてしまいそうだ。
なんだか今日は久しぶりに目から鱗の経験をしたので舞い上がっている。終始こんな具合で申し訳ない。しかし、あの味ぽんダイブのプロモーション動画に嘘偽りは無かった。
そして、何日漬けても玉ねぎの香りは強い。デートや大事な取引先との打ち合わせ前日には控えておいて欲しい。玉ねぎマンとの約束だ!