「懐古厨(かいこちゅう)」というネットスラングがあります。ゲームにおいては、ファミコンやゲームボーイ等のレトロゲームを偲んで「昔のゲームは今のゲームよりも面白かった!オリジナリティがあった!」と古いゲームに思いを馳せるセンチメンタルなドリーマーズを指すわけですが、私もその一人と言われても反論の余地はございません。
さて、そんな懐古厨であるファミっ子の私が押入れから引っ張り出したのはファミコン「ダウンタウンスペシャル くにおくんの時代劇だよ全員集合!」です。最初の発売日は1991年7月26日、ファミコンにてリリースされましたが、あまりの人気に2年後ゲームボーイへも移植されたという名作です。
それから数十年経った今、果たして当時の感動は得られるのか?久しぶりに動かしてみることにしました。
レトロゲームマルチ互換機「レトロフリーク」にてプレイ!
「くにおくんお時代劇だよ全員集合!」ですが、さすが名作、人気作だけあり、2017年現在では任天堂機でVC(バーチャルコンソール)として、3DSやWiiでもプレイ可能になっています。が、ファミコン世代としてはやはりオリジナルのファミコンカセットでやってこそ真のファミっ子と言えるでしょう。
レトロフリーク先生参上。
真のファミっ子を豪語しつつもやはりファミコン本体まではキープできず、苦渋の決断でもって「レトロフリーク」先生に登場していただきました。それでは起動です。
ああ思い出してきた…
起動するとストーリーが始まります。駿河の任侠、文蔵(ぶんぞう)親分が病に倒れてしまい、彼に恩のある主人公の「くに政(くにお)」は、子分の「つる松」を連れて文蔵親分の見舞いに駆けつけるが、そこで彼らを迎えたのが文蔵の娘「お琴」とその許婚を名乗る「浅次郎」…。そこから物語が始まります。色々と思い出してきました!
さて、まず結論をお伝えすると、久しぶりに触ってみましたが、懐古心理抜きにしても間違いなく面白いと感じましたので、その理由を3つご紹介いたします。
その1:奥深くやり応えのある成長システム!
主人公「くにまさ」のステータスは、各地のよろずやで購入できる「着物」や「おまもり」といった防具を装備することでパンチ力や体力などのパラメータを強化することができます。レベルの概念はありませんが、高価な装備を揃えることでステータスMAXの状態にすることも可能です。
パンチやキックだけではなく「ばね」といったアクションに影響のあるパラメータを強化することで、走る速さや跳躍力も高めることができます
さらに各地で獲得できる必殺技の種類も豊富で30種類近くもあり、それぞれ異なるコマンドや条件で繰り出すことができます。中には獲得すれば無双的に爽快感高く敵をなぎ倒すこともできるバランスブレイカー的な技もありますが、当然それなりに高価で取り扱う店も「なぞのみせ」といった形で隠れているため、獲得の難易度が高くなっています。
とにかくこの必殺技集め、謎の店探しも楽しい!
その2:オープンワールド型アクションゲームに近いアプローチ!?自由度の高いシステム
行く土地土地で様々な仕掛けや起伏のある日本列島は歩いていて楽しいのですが、北は北海道南は九州まで横断する中で、ライバルの勢力と鉢合わせることがあります。ここでライバルを蹴散らしながらストーリーを進めていくわけですが、勢力のボスを倒すと仲間になり、操作キャラクターを切り替えることもできます。
また、その辺に落ちている木の棒や石などのオブジェを拾って相手に向かって投げつけたり殴ったりします。オープンワールド型アクションゲームと手触りが近い印象もあります。
その辺に落ちているオブジェをその場で調達、武器にする。そういえばごく最近この手のゲームをやっているような…
あ。
石や木の枝はもちろん、敵を持ち上げて投げつけるこのアプローチは、まさに「ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド」に酷似している!?また、今ではすっかり国民的大型タイトルとなった「龍が如く」シリーズも、くにおくんに大きくインスパイアされたという話もあります。
時代がくにおくんに追いついたと言っても過言では無い?
その3:細かいシステム設定、カスタマイズのバリエーションが豊富!
先に説明した成長システムに加え、「わりふり」設定で「ぱんち」や「きっく」「ぶきなげ」「うたれづよさ」といったステータスに重みを持たせることができるため、自分の得意とするプレイスタイルに合わせてキャラクターをカスタマイズすることができます。
各攻撃に特化したステータス調整が可能です
また環境設定がこの時代にしては繊細かつ大胆で、特に共に行動する仲間、CPUの行動パターン、いわゆるAIがユニークでなかなか賢いです。メニュー「さくせん」では、「テイルズ」シリーズさながらに、敵との距離感やターゲッティングから、敵を倒すスピードまで調整できるという細やかさです。
スピードの「もてあそび」も秀逸。手数少なめにじわじわ敵をいたぶります(その分のんびりしてやられる事もしばしば…)
またこのオープンワールド感溢れる世界を2人同時のマルチプレイで楽しむことができ、いつでも切り替え可能です。そしてフレンドリーファイア、いわゆる「同士討ち」も可能なので、協力しつつも喧嘩すれすれの白熱したバトル、冒険を楽しむことができます。
ケンカはやめましょう。
結論!くにおくん時代劇は今でもやっぱり面白い!
正直懐古厨が楽しい楽しいと豪語するゲームを数十年経った後でプレイしてみると、なんという記憶の残酷なこと「…こんなに単純だったっけ…?」と肩を落としてしまう事も少なくありません。くにおくん時代劇については、昨今のオープンワールドにも劣らないと言っても決して大げさではないほど快適な仕様と成長要素で手応えが強く、やり込み甲斐があるゲームです。
先述の通り任天堂機でバーチャルコンソールとしてプレイ可能となっているので、懐古厨の方も、安価でレトロなゲームをがっつり楽しみたい方も試してみてはいかがでしょうか?