クリア後の感想「ドラクエ11」ゲームから離れた大人こそ楽しめるRPG


3DS版「ドラゴンクエストⅪ過ぎ去りし時を求めて」クリアしました。総プレイ時間は約80時間弱、素晴らしかったです。

1979年生まれの私はオリジナルのドラクエで育ったドンピシャのファミコン世代。ハードの新旧ジャンルを問わず日常的にゲームをプレイしていますが、昨今のゲームに時折疲れを感じつつプレイする中で、今回のドラゴンクエストは久しぶりに「ゲームって楽しい!」と感じられる作品でした。

未プレイの方に対してできるだけネタバレしないようその魅力についてご紹介いたします。

近年稀に見る王道のストーリーに心揺さぶられる

RPGの真骨頂は、主人公の境遇に自分を重ねながらストーリーを追うことにあります。他タイトルとの差別化を重ねていくうちに背景がすっかり複雑怪奇になり果てたRPGが多い中、本作はとにかく超王道の世界観とストーリーです。かといって決してよくある退屈なお話ではなく、他シリーズと比較してもストーリーにドラマティックな起伏があり、分かり易いのにインパクトのある展開に強く心打たれました。

シリーズ中でもストーリーの展開がドラマティックな部類に入ります

メイン、サブに渡って、その生い立ちや人柄が丁寧に描かれた愛着溢れるキャラクターとドラマティックな展開に、不思議なくらい純粋に遠く離れた仲間の無事を願い、町の人たちや世界を無性に助けたい衝動に駆られます。過去のシリーズの中でも特にストーリーが重視されています。

往年のファンが「ドラクエ」に求める要素が詰まっている!

プレイする中で、作り手がドラゴンクエストの魅力を十分に理解、尊重している印象を受けました。作り手のプライドというものは、我々プレイヤーに無条件で伝わってきます。

ゲームの楽しみ方は十人十色。ここに固執してしまうのは勿体ないのですが、「ドラクエはかくあるべき」という往年のファンが持つイメージに沿った形に仕上がっていると感じました。我々がそこに求めているのは、リアルな映像、複雑な成長システム、ストーリー分岐でも自由度の高さなんかじゃない。剣と魔法の世界で、限られた条件の元、次に取る行動をひとつひとつ考えて攻略していくことこそがドラクエの魅力なのではないか?とシリーズファンである私は思いますし、そういった楽しみを深く味わうことができました。

もちろん新たなシステムや試みはあるものの、往年のファンが困惑してしまうような「ドラクエらしからぬ」機能はゴチャゴチャ備わっておらず、これぞドラクエ!という手触り感があります。

抽象化させることでプレイヤーに解釈を委ねる2D描写という試み

本作はPS4版と3DS版のクロスプラットフォーム展開ですが、「映像にリアリティのあるPS4版の方が感情移入の度合いが圧倒的に高い」という意見が散見されます。

私もその考えには概ね同意なのですが、果たして感情移入するためにはPS4一択と結論づけてしまって良いのかは疑問で、私は3DS版の「2D描写」にこそ感情移入の要素が備わっていると考えます。


30代、40代以上のドラクエ世代、ファミコン世代の方であれば、2D描写のRPGでそのストーリーに感動したことのある方は少なくないのではないでしょうか。キャラクターの表情が細かく見えない分、自身の最も心地よい解釈で物語を捉えることができる2D描写こそ感情移入できる表現のひとつなのではないかと思います。

手軽さから3DS版を選択し、デフォルトでありグラフィカルな3D描写でプレイされる方もいらっしゃると思いますが、せっかくなら2D描写にも触れてみることをおすすめします。PS4では決して体験できない、読書に近い独特の感覚を得られます。

すっかりゲームから離れてしまった大人にこそ楽しんで欲しい!

改めて本作の売りは、コツコツと鍛え、魅力溢れるストーリーを辿って少しずつ攻略していくこと、つまりそれはゲームの本質そのものではないかと思います。

その昔コツコツとレベルを上げては仲間を探し回って強敵と戦い、そのストーリー展開にワクワクしたりしたかつての少年少女もすっかり大人になりました。会社に家庭に、気づけばいつの間にか毎日忙しくて、ゲームに費やす時間は減り、次第に情熱も薄くなっていきます。このドラクエはそんな世代に寄せて作られたのかな、と私は思います。分かり易くて真っ直ぐで、余計な物が無い。その手触りは昔慣れ親しんだドラクエそのものです。

また個人的に本作のテーマは「家族」なのではないかと感じました。仲間になるキャラクターのほとんどば、素性の知れないパッと出の謎の冒険者などではなく、その生い立ちや家族について丁寧に触れられています。特に子供を設けた立場で本作をプレイすると、改めて心に響くものがあります。

決してゲームが嫌いになったわけではないけれど、いつの間にかゲームから離れてしまった大人にこそ楽しめる作品だと思います。

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