魔界塔士SAGAの名言(10選)は、英語版でどう表現されているのか?


唐突ですが、ゲームボーイのサガ1こと魔界塔士SAGAは名言(迷言)の宝庫だと思う。

ついこの間クリア後検証のためにSa・Ga COLLECTIONに収録されている英語版サガをプレイしていたところ、風化させるには惜しい金言の数々がどういった形で英語化されたのか知ることができ、発見だった。

奔放な感じの初代サガの言葉選びは、英語版「FINAL FANTASY LEGEND」ではどんな表現に変わるのか?

特に個人的に印象的だった表現10選を確認しました。

おれはいやだぜ「Won’t leave!」


仲間を集めるギルドで、メンバーにカーソルを合わせて新たな仲間を加えようとすると断られる言葉「おれはいやだぜ」。

エスパーギャルだろうがモンスターだろうが、一人称が「俺」というのも当時違和感を覚えたものだけど、これが英語になると「Won’t leave!」となる。原則男言葉、女言葉の無い英語に救われたと言える。

直訳すると(俺は)このチームから死んでも抜ける気はないぜという、日本語版と同様強い意思表示を感じるけれど、死んでしまった仲間をこっそり外せるのは英語版も同様。

しんでるぜ「He is dead.」


志半ばに倒れたキャラクターに対して話しかけた際の台詞「しんでるぜ」は「He is dead.」。

直訳すると彼は死んでいますとなり、英語の教科書みたいな文になった。しんでるぜの方が教科書っぽくなくて臨場感があるので、日本語版に軍配を上げたい。(勝手に優劣を付ける)

てめえのようなやつが1ばんむかつくんだよ!「Scum. You make me sick!」


つるぎのおうに仕え王亡きあとキングのつるぎを持ち逃げして命乞いした大臣に対し、主人公たちは彼を殺害した挙句キングのつるぎを強奪。

そこで吐き捨てたセリフ「てめえのようなやつが1ばんむかつくんだよ」。これを英語化すると「Scum.You make me sick.」。

scumとは元は排水溝などに溜まった汚物という意味で「クソ」「クズ野郎」といった意味合いのスラング。

反吐が出るほどイヤな気分だぜといったところだろうけれど、冷静に考えてみると大臣よりも主人公一行の方がよっぽどScumだったりする。

いかにもネイティブっぽいので日常でも使ってみたいところですが、言う相手によってはHe is deadになりそうなので、避けておくのが無難。

しりたがりやはわかじにするぞ「Don’t ask questions. Just do as you’re told.」


空中世界を牛耳る白虎に捜索を頼まれたジャンヌとはどんな人間なのかを尋ねるシーン。これに対する白虎の答え「しりたがりやは わかじにするぞ」は、海外版では「Don’t ask questions. Just do as you’re told」に。

直訳すると「何も聞くな。お前は言われたことだけすれば良いのだ」となり、若死にするといった小粋な言い回しは再現されず、なんとも味気ない表現に。

きくまでもなかろうよ「You ask a silly question.」


同じく空中世界で白虎の手下に捕まったジャンヌを助ける時に「ガルガルやろうと いいおんなと どっちがすきだ?」に対する名言「きくまでもなかろうよ」を英語で表現したのが「You ask a silly question.」。

sillyは「馬鹿げた」という意味なので、「くだらない質問だな」とでも言ったところか。

決まった…俺かっこいい感が出ているのは「なかろうよ!」の方だと思うので、ここも日本語版に軍配が上がる。

このとらやろう!「You fiend!」


白虎の空中世界は名言が多すぎて困るのだけれど、いよいよ白虎と戦う時の名シーン。

白虎の攻撃から妹のミレイユを庇って倒れる姉のジャンヌ。そこで主人公一行が白虎に放った一言「このとらやろう!」は、「You fiend!」。

意訳すると「この鬼!悪魔!」とでもいったところか。

シリアスなシーンで虎野郎というポップなワードが飛び出すあのギャップになんとも味わい深いものを感じるのに、無難な表現に着地。あまりにショックすぎてスクショ撮るのを忘れました。

はやくきえて!「Run!Quickly!」


空中世界は名言の宝庫。

引き続き空中世界で白虎を倒したものの、クリスタルと引き換えに命を落としてしまったジャンヌを目の前にして妹のミレイユに言われるセリフ「はやく きえて!」は、「Run! Quickly!」。

白虎から助け出したのにどこか行けとは、それこそ「You fiend!」だ。このシーンに憤りを感じたのは日本人だけではないはず。

へっ どうだ これが おとこだぜ!「I’ve shown you a real man, haven’t I?」


都市世界で体を張ってバリアを切り開いた総長が主人公達に言い放った「へっ どうだ これがおとこだぜ」は、英語にすると「I’ve shown you a real man, haven’t I?」。

意訳すると「これが男だ」と、元千葉県知事の森田健作さんみたいなセリフ(古い)。

体を張って多少無茶なことをしたあとで口にしたい日常でも使いたいワードNo1。

これもいきもののサガか…「It’s the destiny of mortals…」


ついに最上階に到達した主人公たちが、ラスボスであるかみに立ち向かうシーン。

タイトルにもなった一番の見せ所でもあるかみの名言「これもいきもののサガか…」は「It’s the destiny of mortals…」となり、意訳すると「これが人の定めか…」とでも言ったところ。

カッコいいのでぜひ使いたいワードではあるけれど、残念ながら我々は神ではなく一般人なので、疲れた時や何かに人に聞かれない程度でボソッとつぶやく程度に留めたい。

かみはバラバラになった「CREATOR went to pieces」


最後に、ラスボスであるかみをチェーンソーでバラバラにするあの表現はどうなのか?

見てみると「CREATOR went to pieces」だそう。

go to piecesという熟語は「バラバラにする」の他にも「精神的に疲弊する」「自制心を失う」といった意味もあり、英検1級レベル、TOEICスコア950点ほどの表現らしいので、ぜひ覚えておきたい表現。勢い余って「チェーンソーでバラバラにする」と訳すとたぶん不正解になるので注意。

結論、英語版魔界塔士サガでは、オリジナルにあった趣(おもむき)のようなものは感じられなかったけれど、それは単に私が日本人だからなのかもしれない。

そして、「映画の字幕は意味ではなく、文脈が大事」トムクルーズの付き人である戸田奈津子さんもそう仰っていた。要は読み手の解釈なのだ。Don’t ask questions.の中にだって「死にたがりやは若死にするぞ」が見えてくるのかもしれない。こないな。

けれど、後世に残したい言葉に、私はこれからもサガのワードを推していきたい。

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