世界一楽しいGBCソフトは「ちっちゃいエイリアン」だと思うので紹介したい。


新しいゲームの情報は世に溢れているけれど、時の流れとともに風化させてしまうには惜しい名作が旧ハードにだってたくさんあるのだ。

例えばゲームボーイカラーには「ちっちゃいエイリアン」というゲームがある。

宇宙からやってきた小さなエイリアンを集めてミニゲームで遊びながらススを貯めて宇宙に暗黒を取り戻す。黙々と。

フォトリアルな映像や広大なオープンワールドに疲れた時、こうして単調なゲームで時々人生の現在地を見つめ直すのだ。

(そういう話ではなくて部屋の片付けをしていて出てきたゲームボーイカラーで遊び始めてしまっただけです)

これがちっちゃいエイリアンのソフトです。

実際ミニゲームそのものは面白いかと聞かれればそれほどでもない。というか、全然面白くない。ゲームボーイで面白いソフトは何か?聞かれることがあればサガ2とか面白いですよと答えるだろう。ちっちゃいエイリアンとは言わない。そこから細かにゲームの内容を説明して「クセの強いゲームが好きなのかな。なんだか面倒臭い人だな」と思わせてしまったら申し訳ないからだ。ちっちゃいエイリアンは私にとって心に抱いておきたい「人に教えたくない店」みたいなものかもしれん。(教えてるけど)けれどもゲームボーイカラーの中で世界一面白いうちの一本だと思っている。

前置きが長くなりましたが、そんなちっちゃいエイリアンはこちらです。

2001年2月27日にゲームボーイカラー専用タイトルとして発売されたちっちゃいエイリアンは、主にポケモンカードの企画や制作など、ゲームボーイ時代からポケモンに携わっているクリーチャーズ社。

ディレクターは元同社代表取締役社長の田中宏和氏。ミュージシャンでもある同氏はレゲエ、テクノ、チップチューン系に影響を受けているアーティスト寄りのクリエイター。過去には、ゲームボーイ晩期のガジェッターに対し、ポケットカメラでトラウマを受け付けた張本人でもある。納得。

カセットは特殊な形状になっていて、電池を入れることでソフトが振動するのだ。痺れにも似た小刻みな震えはかなり激しい。例えるのなら、SwitchのJoy-Conのような。

違うな。釣りをして小魚がかかった時のような?

とにかく小刻みなのだ。

メルカリに載せる商品写真みたいになってしまったけれど、好きすぎるので売らない。散々勿体ぶってきたけれどメルカリでは別に躊躇せずに購入できそうな価格で売られているので私の目なんてのはその程度なのである。気になった人は安心してお買い求めください。

ソフトだけなら1000円ほど。転売屋も無関心なので安心ですね。

ちっちゃいエイリアン、ゲームの流れ。

ゲームの価値や希少性のアピールに失敗しつつ、このまま内容の紹介に移っていきたい。

ゲームボーイカラー本体に備わっている赤外線ポートに向けて照明の光やテレビリモコンの電波を検知し、ちっちゃいエイリアンを捕獲するのが本作の特徴。

この頃から任天堂機はアイデアの塊だったのだ。

このエイリアンを使ってミニゲームで遊びながらスス(ダークマター)を集め、宇宙の暗黒を取り戻す、みたいなお話。

ちゃいリアンことちっちゃいエイリアンたちは100種類以上。

今で言うと、WiFiの電波を拾って集める電波人間に近い体験で、電波人間よりもクセが強い。電波人間がサンリオだとするとこっちは素焼きの埴輪くらいクセがある。

それでは捕まえたちゃいリアンごとに設定されたミニゲームで遊んでいきましょうか。

とにかく余白とかがすごい。

ピコピコと小刻みに動くヘタウマ風のキャラ。しかし背景や見出しの文字などひとつひとつのクリエイティブをよく見て欲しい。余白とポップなデザインは全て計算づくで、キャラクターの小ささや不気味さの表現に成功している。ポケモンなんてのは「ポケット」と付けておきながらきちんとディテールまで描いているのに。

ミニゲームはちゃいリアンによって異なるが、代表的なのがルーレットバトル。

ルーレット的に回転するコマンドをタイミングよく選択しながら相手の体力を削り切ると勝利。

勝利すると、報酬として(というよりも罰として)体いっぱいダークマターを噴射される。

からだいっぱい真っ黒になったちゃいリアンをピンセットで摘み、まとわりついたダークマターを試験管に振るい落としていく。

この一連の流れを繰り返し、試験管いっぱいに溜まった暗黒物質を宇宙に帰す。

ロケットに積んだダークマターを打ち上げることで、宇宙が暗黒を取り戻していく。

面白そうじゃありませんか?よくわからないって?でも今日はこんな調子で説明していくので諦めてこのまま読み進めてください。

100種類以上のちゃいリアンは味わいがあってクセが強すぎる。

ちゃいリアンは全部で113種類。

無礼を承知で申し上げれば、ビジュアルといいネーミングといいとても真面目に作ったとは思えない。

こんなのとか。

あろうことか、こんなテイストのキャラが進化までしてしまう。

ポケモンだ。

ポケモンとちっちゃいエイリアン、ほぼ同じじゃないか。いっそポケモンよりも面白いんじゃないのか?

「ポケモンみたいなゲームがやりたいんだよ」そういう友達がいたらどうしようか。でも「デジモンとかは?」と答えちゃうだろうなおれは。

「田中君、何を考えているんだね。」

この企画書を持っていった時そういう反発もあっただろう。2001年当時すでにゲームボーイアドバンスが、据え置き機ではPS2が発売された。グラフィックはより洗練され美しくなった。ファイナルファンタジー10が発売を控えていた頃、いったい何を考えていたのだ田中宏和氏よ。

「負けたよ君には。田中君、進めてくれたまえ!」

情熱の勝利である。最終的に意思を貫き通すことで、こうして人々の心を鷲掴みにしてしまうのだから人間捨てたもんじゃないなと思うよ本当に。(何の話だ)

そんなドラマを想像して気持ちが昂ってきたので、数十体ものちゃいリアンを集めたらミニゲームで遊ぶ体力「コスモ」を養うためパチンコ風のマシーンに全ちゃいリアンを投入ッ!!

このミニゲームには独特の慣性があり、パチンコというよりも、水が入っていてボタンを押すとギュンと水流が生まれて輪が浮かぶやつに近い!

コスモが溜まったらまたちゃいリアンと遊び、再びダークマターを貯めろ!!

ミニゲームにはいくつか種類があり、固有のちゃいリアンのみ遊べるものもあるんです。

ミニゲームで獲得したスコアに応じてえられる暗黒物質の量が変わります。

現行機への移植はしてほしくない。思い出の中にとどめておきたい自分がいます。

最後は駆け足になりましたが、かなりクセ強なゲームであることがお分かりいただけたかと思います。

ミニゲームひとつひとつが特別に面白いわけではない。極めて単調な作業が続く。コレクションとしてあるべき姿はポケモンで育ってきた世代ですが、こんなんでゲームって成り立つのか!?と感心させられる。

ゲームとして成り立たせるものの正体とは、印象的なビジュアルや言い回し、こだわりにに裏付けされた面白さなのである。当時大学生になったばかりの私のゲームボーイカラーライフはこうして終わりを迎え、ゲームボーイアドバンスに移行することになる。あのゲームがゲームボーイカラーで遊んだ最後のゲームで、集大成に相応しいゲームだった。

きっと私はヘンなゲームが好きなのだ。

けれども、現行機でもう一度遊びたいか?と聞かれたら答えはNOなのだ。あのドットの味わいがあるからこそヘタウマの世界観が活きた。

この先も同世代の人間とゲームボーイのゲームについて語る機会の一度や二度はあるかもしれない。「ラスボスをチェーンソーでぶった斬ったものですよね」と無難に話す間にも『ちっちゃいエイリアンが好きだったんだよな…』とかこっそり思い出すことにしよう。そんなゲームをこれからも思い出したり、また新たに発掘しまくってもいきたい。

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