「ラサール石井のチャイルズクエスト」は令和に遊んでも良ゲーなのでは?


難易度が高過ぎて、子供の頃に投げ出してしまたゲームが山ほどある。子供は子供で時間的な制限もあったし、攻略本だって当時の子供にとっては高額だったのだ。あれから時は経ち、インターネットの恩恵を得た今、抱えていたわだかまりを消化する時が来たのだ。

ファミコン「ラサール石井のチャイルズクエスト」。先日の中野ブロードウェイ巡りで久しぶりの再開を果たし、購入。

遊んでみるとどうだろう、令和になった今でも結構良ゲーなのでは?と思ったので、令和を生きる若者や働き盛りのお父さんお母さんたちにもご紹介したい。

昭和のジョークが新鮮。

何よこれは。

買ったは良いが、その前にラサール石井が何者か?という話である。

昭和時代、バラエティ番組にはいつも彼が映っていた芸人?俳優?よく分からないが、あの名門ラ・サール高校から早稲田大学へ進学した実績のある高学歴タレント。思い起こせば何がそんなに面白かったのかよく分からないタレントって多かったな。今や過激な政治的発言が目立つ怖いおじさんみたいになってしまったが、あれだけお茶の間でもお馴染みになればゲーム化のひとつでもされるわけだ。

ゲームの内容はというと、素朴な見下ろし型RPG。

ラサール石井属する石井光三オフィスに所属していたアイドル「チャイルズ」のマネージャーとなって日本全国を行脚し、彼女たちを有名にさせる、というストーリー。メンバーだった磯野貴理子氏も今や還暦ですか。

ゲームのノリはと言うと、下ネタは多いわ胸は触るは太ももは触るはとんでもないセクハラぶり。

おまけに番組の騎馬戦でポロリを強要するわでまったく凄い時代だったのである。今そんなものがYouTubeに流れでもしようものなら垢BANされて番組の運営どころではなくなってしまう。そりゃ少子化もするわという話だ。

しかし令和にすっかり染まってしまった今となってはその寛容で時に過激な昭和の笑いは新鮮に感じた。多少のスケベやセクハラも許容、何がリモハラアルハラだ、デリカシーなんて糞食らえだ。

独特のパラメータ「不満度」が程よいアクセントに。

ゲームの大きな特徴としてはチャイルズたちの「不満度」管理。

歩いているとチャイルズのメンバーが突然尿意を訴えたり、遭遇する敵からセクハラなどの嫌がらせを受けたりすることで不満度が蓄積。100%に到達すると不満を爆発させ拠点からやり直しとなってしまう。

レベルが上がっていくと泊まるホテルや食事のグレードに対して不満を爆発させ、1発で拠点に戻されることもある。RPGのよくある要素で言えば「毒」に近い。スリリングではあるが、レトロフリークではばっちりいつでもセーブ、ロードができる上にレベルが上がれば習得する魔法で不満度を一発で解消できたりするのでどうということは無し。

それよりも、今では女性の尻や胸に触ろうものならわいせつ罪で逮捕だろうが、そんなことが当たり前に横行していた時代に驚きを隠せずにいる。

謎解きが楽しい。攻略サイトも健在。

今のRPGは謎解きなんて要素がすっかり希薄になってしまった。ホライゾンゼロドーンやなんかをはじめ、目的地までばっちり誘導してくれたりなんかするゲームも多い。お膳立てされ、忙しい時代にマッチしているとも言える。

しかし昔のRPGや本作にもあるように、NPCのセリフからヒントを得て目的地を推測しては手探りで歩き回るその推理が楽しい。ピタリとハマった瞬間に得も言われぬ達成感を覚えたものである。

当時は友達同士攻略法や目的地を知っている人間に聞いて回ってゲームを進めていたものだが、今学校や職場でラサール石井のチャイルズクエストの話を始めようものならば、突然何を言い出すのだと不気味がられ左遷されるリスクだってある。だから週末何をなんて話をする時には決まって「ランニングしたり、娘の宿題見たりとかですかねー」とか適当に話すのである。(本当はファミコンで遊んでいたのだけれど)

そんな時はインターネットだ!

今でも本作の攻略サイトはいくつかばっちり稼働されている。昭和生まれの心のオアシス。ありがたいことです。

割とオープンワールド。

本作は日本列島を舞台としている。序盤は渋谷から始まり都内を歩き回ってストーリーを進めてから東京を離れていくのが正しいルートではあるが、いきなり都外へ足を広げても良い。

当然敵の強さも跳ね上がるが、多少無理をしてガッツリ経験値を稼ぎ、無双っぽい遊び方も楽しめる。

本作はマップも広く、エンカウント率もそこそこ高い。(後半でエンカウント率を下げる装備品もあり)先に申し上げた通り、キャラクターのセリフをヒントに過去訪れた街から街へ行ったり来たりすることもある。

一方、屋外であろうがダンジョンの中であろうが消費MPの少ない移動魔法のおかげで過去に訪れた街へひとっ飛びでき、移動が快適。今で言うファストトラベル。時代を見据えたユーザビリティ。

ミニゲームも豊富。

見下ろしRPGではあるけれど、謎解きや戦闘の他にもボタン連打、ビープ音を聞かせて何と言っているかセリフを当てる(入力させる)といったミニゲームが豊富。

ファミコン時代は限られた表現で様々なコンテンツを作っていた。可能性を感じるチャレンジングな時代である。

尚水泳のミニゲームでは1位を取ると「人気も無いアイドルのくせに優勝するな。空気を読め」みたいな発言をされてしまったりもするので、何が正解か、その時々の状況やセリフから見極めるのも楽しかったりする。

クセの強さに魅了されてクリアしてしまった。

当時クセの強い謎ゲー的位置付けではあったけれど、その世界観にすっかり魅了されてクリアしてしまった。今遊んでも楽しいゲームである。

ラスボスは強かった。その倒し方すらこれまでの経験から推測した。夢オチ、メタ的なエンディングだけれど、別にそれでよかった。クリアできずに抱えていた積年のモヤモヤが払拭できた。

レトロフリークの倍速プレイや攻略サイトに助けてもらいながら5〜6時間くらいでクリア。自力でクリアすれば、ペルソナやエルデンリングなど現代のリッチなコンテンツにも匹敵するプレイ時間になるかもしれない。

ペルソナやエルデンリングとチャイルズクエストどちらが楽しいか?それは人それぞれだと思う。作り込まれたゲームだけが正義とは限らない。8ビットには8ビット、ドットにはドットの想像力を掻き立てる楽しさだってあるのだ。でもチャイルズクエストの方がペルソナより楽しいよねなんてプレイヤーさんがいたらやっぱりこの人大丈夫か?と思っちゃうけどね俺は。

とにかく!30年以上の時を経て無事クリア、楽しかった!

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