ケムコ様からご提供いただけました「異世界輪舞 ～御社も異世界もブラックなのでここから先はホワイトライフを目指します！～」。
当て付けのようなタイトル名であるが、実際のところどうなのか聞けるわけもなく。これまでお会いしたケムコのご担当者様は皆素敵な方々だったし、きっとそんなことはないはずだ…何を言っているんだ私は。
結論、鍛え甲斐がある！
ゲーム中のパーティーメンバーであって社員をとかではないぞ！（動揺）
「パッシブスキル」がキーワードなケムコRPG。
しかし鍛え甲斐があるというのは本当のところで、本作の特徴のひとつがパッシブスキルの豊富さ。
戦闘での経験に限らず、さまざまな条件でパッシブスキルを習得、強化していく。
思わぬ行動で突然新しいパッシブスキルを閃いたりする。
例えばこんな感じ。
戦闘時の行動順が早まるスキル「下半身強化」は歩数に応じて習得、強化されたり、通常攻撃のダメージが上がるスキル「素寒貧」は何も装備しないで戦闘を行うことで習得できたり、通常攻撃のHIT率が100%になる「不動の三半規管」は、メンバーの並び順を一定回数変更することで習得できたりするのだ。
しかも、パッシブスキルの数は主人公で40種類以上もあった。
また規定のスロット数しか装着できない縛りなどなく、全てのパッシブスキルが一気に機能する。パッシブスキル厨にはたまらない重ねがけ効果。
RPGにおけるスキルのお作法として、ビルドの多くは攻撃や防御の手段としてのアクティブスキルと、キャラクターの特性やポテンシャルを高めるパッシブスキルとの2種類に分かれているものが多い。アクティブスキルの効果はパッシブスキルにも依存するものが多く、能力を底上げするパッシブスキルを制するものこそスキルを制すると言ってもよい。
被ダメをカットしたり攻撃力を高めたりといったキャラクターの能力を上げるもの、ホイミやケアルのどちらが必要か？という話である。しばらく悩んだけれどホイミも必要だな俺は。
キャラクターごとに設定された職業レベルを上げることで習得するアクションスキルももちろん豊富。
とにかく。
このパッシブスキルの習得方法が実にバラエティに富んでおり、強化するのも探し出すのも楽しい。
ヌルヌル、多段、派手な戦闘。コマンドRPGの戦闘にあると嬉しい機能が一通り備わっている。
ストーリーはざっくり以下のような内容。
現実社会でブラック企業に勤めていた主人公がとあるきっかけで別世界の住人に転生。
縁あって出会ったメンバー達とパーティーを組んで魔王討伐に参加。そこで出会う様々な生い立ちの住人たちとの交流の中で自分を見つめ直しながらホワイトな生活を思い描く、といったもの。ネタバレ配慮につき詳細の説明はこちらでは伏せておき、ぜひその結末まで実際にご覧いただきたい。全体的にはギャグも交えつつカラッとした明るいテイスト。
さて、本作のメインコンテンツとなる戦闘はというと
・ヌルヌル動く
・スキル豊富
・連携や演出が派手
・テンポサクサク
と、見応え、動かし応えあり。
みんなサイドビューのRPGと言われればヴァニラウェアにばかりに気を取られていないだろうか？このグリグリスピーディーに動く表現は一見の価値あり。
ドット絵サイドビューの派手な戦闘はケムコ製RPGの得意分野。連携、多段攻撃など派手な連撃大好きなプレイヤーにはたまらない。
似たゲームで言うと、PS1のヴァルキリープロファイルみたいな流動性を感じる。
倍速、オート、前回の行動を繰り返すリピートなど、あったら良い機能も当然の如く備わっている。
オートだけでも魔法、特技、アイテムの使用可否などの行動条件、エフェクト有無、片手操作、レベル差が大きい時の戦闘ショートカットなど、忙しい現代社会に非常にマッチした快適かつ爆速な設定も可能。
そしてテンポよく戦闘を繰り返すことで条件を達成すればまた新たなパッシブスキルを習得、メキメキ成長していくのだ。
ケムコRPGの中でもハクスラ要素強め。ファストトラベル、ロード皆無と快適すぎる。
本作のサイクルは、ギルドに所属して世界にひとつ存在するダンジョンを進み、ストーリーを進める中でギルドのランクを高めながらより深い階層に進んでいく…という流れ。
ダンジョンで手に入る武器、防具は経験値やレベルの概念もあり、同名であってもそれぞれ攻撃力などの値も異なり特殊効果が付与されていたりする一点もの。つまりハクスラ的。スピーディーな戦闘終了後にボトボト落とす装備品の中から自身のプレイスタイルに最適なものを見つけた喜びは強い。
さらに、ファストトラベルでいつでもどこへでも行ける。ロード時間も「無し」と言い切ってしまってよいでしょう。本作において「Now loading」の文字なんて、ゲーム起動時の数秒くらいしか見た記憶が無い。
ということで移動も戦闘もサクサクなので、ゲーム全体の進行もまたスピーディー。ダンジョンだろうが街だろうが、目的の場所へすぐに辿り着ける。
なので、人によっては20時間ほどでクリアできるかもしれないけれど、ボリュームが少ないかと言われるとそうではなく。特に住人たちの会話を読んでいても、セリフの量やパターンは膨大。
「ハクスラ」「パッシブスキルの発見と強化」「やり込み」のワードにピンと来れば特におすすめ！
ケムコゲーと言えば、遊びやすいのにやり込み要素が強い。
スキルはもちろん、ステータスもメキメキと強化できる。
レベルを上げ…
ドーピングアイテムを稼ぎ…
メキメキと強化していく。
ああこの作業がたまらない。
考えごとばかりの生活において、何も考えずにひとつの作業に没頭するのはある種のリラックス効果を感じる。
ドーピングの方法も幅広く、特にハクスラ要素のある本作において敵がボトボト落とす使い物にならないアイテムを売る捨てるではなく食べてしまうキャラも。
種を様々な種類の畑に植えることでドーピングアイテムを生成する、リアル時間と連動した栽培や、戦闘中に野菜を「召喚」し、数ターンで育ったまま戦闘を終えるとステータスが上がったりと、ドーピング好きにはたまらない。
そんな癒しの時間を過ごしている間に思わずカンストさせてしまった。
「単調作業などどこが楽しいのか？」という方もいらっしゃると思うが、ご安心ください。その先に登場するボスやエンドコンテンツはトライ＆エラー。癒しとか言っておきながら、死にゲーさながらの強敵も登場しましてよ。
この、作業と思考の繰り返しが楽しい。
さて、ここで唐突に私のやり込み遍歴についてご紹介したいのだが、私はあのドラクエ3を勇者以外の呪文、特技を全て習得したレベル99の武闘家を4人作った人間で、光の玉を使って弱体化させていないゾーマを1ターンで倒したりした。
なので、やりこみ厨の仲間に入れていただきたい。
そんなやり込み好きの人間から言わせていただくと、ゲームには「やり込み易さ」というものも大事なのである。やり込みというのは納得感でもあり、ケジメのようなものなのである。格好いい風なことを言ってみたけど暇人アピールしているみたいでちょっと恥ずかしくなって来たぞ。
やり切った感をきちんと感じさせてくれるのが本作の良いところで、ケムコゲーの魅力でもある。
とか語ってみたけれど、パッシブスキルはまだ全て習得していない。
世界中に散らばる探索アイテムを全て集めると習得できるらしいパッシブスキルは何なんだろうか。これらのコンテンツを網羅しようとすれば、想定50時間以上はかかるかもしれない。
ハクスラ、そしてキャラの底上げ、俺TUEEプレイ、これらのワードいずれかにピンと来たら、本作はドンピシャと言えるので、ぜひプレイしてみていただきたい。
異世界輪舞 ～御社も異世界もブラックなのでここから先はホワイトライフを目指します！～ ダウンロード版 | My Nintendo Store（マイニンテンドーストア）